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 タイ北部のチェンライ県の地元サッカーチームに所属する、11歳から16歳の12人の少年と、コーチの合計13人が大雨の増水の影響で洞窟内に取り残された事故で、その救出劇は、世界中がくぎ付けになった。

現場には家族や報道以外の人間が

 たまたま、遭難した日にメンバーの誕生日のお祝いをサプライズで行うため、水やお菓子、パンなどを大量に持っていたのが幸いし、全員が発見されるまで、なんとか食べ繋ぐことができたのも奇跡といえるだろう。

 タイ軍の救助隊は当初、雨季が終わるまで、最長4か月にもわたって少年たちが洞窟に閉じ込められ続ける可能性があると指摘していたが、さらなる雨の増水の影響を考慮して緊急的に救助を開始。

 そして90人のダイバーが参加した救出作戦で、8日と9日に少年4人ずつを、10日には男性コーチと少年4人を助け出した。

 一連の救出劇では、ダイバー1人が亡くなるという二次災害も起き、危険な状態の中、少年らの家族も現場にかけつけていた。連日、救助の様子を見守る中、報道する世界中のメディアとともに、目的が違う人々が詰めかけるようになってきたという。

「それは、ハリウッド映画関係者達たちです。今回、非常に稀なのは少年たちの集団だったことで第二の『スタンド・バイ・ミー』のような、冒険モノになると息巻いているんですよ。

 子どもの多さ、そしてメインに死者がいない。ドキュメントとして作品にしたいと、タイの映画関係者とともに来ているんです。首都バンコクから北へ800キロほど離れているチェンライはタイでも田舎のエリアで、昔ながらの素朴な町です。

 救助が始まる前から少年の両親に声をかけまくり、独占契約を迫っているんです。原作出版権と、映画の話がメインで、テレビの出演権までもセットにしているようです。何社もブローカーがいて、オプションや金額を釣り上げ、奪い合いになっているようです」(報道関係者)

 旅行で1か月間チェンライに滞在したとして、宿泊、食事、観光ツアー、買い物などをしても、日本円で10万円もあれば十分な土地だという。制作費は格安になりそうだ。

「現地の人にしてみたら、夢のようなギャラ提示でビックリだと思いますが、ハリウッド的には破格で交渉ができるのが魅力のようです。とはいえ、救出されたばかりで、両親たちはブローカーどころではない。そのため、まだ一方的な提示になっているようです。具体的にはこれからでしょうね」(前出・報道関係者)

 2010年にはチリの鉱山労働者たちが約70日間、地下に閉じ込められことがあった。その5年後には『THE 33』(邦題『チリ33人 希望の軌跡』)という映画になって公開されたことも。

 今回の奇跡の救助劇も、映画化される可能性は大きい。

<取材・文/宮崎浩>