京都市動物園も、この取り組みに積極的。2008年に京都市と京都大学で、野生動物保全に関する研究と教育の連携協定を結び、種の保存や環境教育に取り組んでいるのだ。

“性教育”もしっかりと

 例えば、ニシゴリラは、日本で初めての繁殖に成功。ゴリラの研究で著名な京都大学総長・山極壽一先生には特別学術顧問に就任してもらい、相談に乗ってもらっている。

「飼育員は常に観察できるわけではないので、ビデオカメラで撮影し、大学とも協力し映像を解析するなどしています。健康管理に役立てるほか、夜間の交尾がいつ、どういう環境で行われたかなど、日常の飼育管理や繁殖について有益な情報が得られます」(和田さん、以下同)

ラオスより繁殖プロジェクトのためやってきたゾウたち
ラオスより繁殖プロジェクトのためやってきたゾウたち
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 繁殖がうまく進み、ゴリラは現在3世代目。最近は動物を自然に近い形で飼育・展示する動きがあり、群れの動物は群れ、家族で暮らす動物は家族で見せる。

「ゴリラ舎では、モモタロウ&ゲンキ夫婦と、長男のゲンタロウが暮らしています。ゲンキは妊娠中で12月に出産予定。ゲンタロウは6歳で“お年ごろ”。パパとママの交尾を見て興味を持っており、自然な“性教育”もできています」

 そのほか、世界的に希少なアジアゾウについても、ラオスと共同で「ゾウの繁殖プロジェクト」に取り組んでいる。

 動物の命や動物福祉等への取り組みは、すぐに答えが出る問題ではないが、知恵を出し合えば、前に進むことはできるのだ。