生真面目な初婚男性ほど、元夫が気になる

 太田さんは、初婚の男性。鳥羽さんは離婚経験者で、元妻側に大学生の娘と高校生の息子がいました。

 初婚の太田さんは大手企業にお勤めで、これまで仕事一筋。女性とおつきあいした経験もあまりなかったようです。生真面目な性格ゆえ、政子さんの身辺を細かく知りたがりました。

 ことに、元夫との現在の関わりと今後の関係が、気になって仕方なかったようです。

 というのも健くんの親権は政子さんにあるものの、元夫には面会交流権があり、月に1度は今も健くんに会っているからでした。

「それは、再婚してからも続くんですか? 元夫さんは、政子さん親子が住んでいる場所を知っているのですか? 離婚の理由はなんだったのですか? 元夫さんは、ご自身の国には帰らないのでしょうか? 永住権を持っているのでしょうか?」

 次から次へと知りたいことを質問してきました。

 そんな時に、政子さんは鳥羽さんともお見合いをしたのです。交際に入り、最初のデートは二人だけでしたのですが、別れ際にこんな提案をされたそうです。

「こうやって僕らが会っている時に、息子さんは、誰かに預けているのですよね。それも大変でしょう? これからは3人で会いませんか?」

 鳥羽さんの提案によって、2度目のデートは3人で自然公園に行きました。

 公園の売店で虫かごと虫取り網を買った鳥羽さんは、息子さんと一緒になって、蝶を追いかけたり、バッタを捕まえたりしたそうです。

 その親子デートの後、政子さんは私にこんな報告をして来ました。

「鳥羽さんは、元夫のことは何も聞いて来ませんでしたが、ご自身の離婚理由は話してくださいました。

『同じ失敗はしたくない。これから健くんも含めていいお付き合いができればと思っています。今年の夏は、3人でたくさんの思い出を作りましょう』と、前向きな言葉や明るい未来を感じさせてくれることをたくさんおっしゃってくださいました」

 そして、3回目のデートを終えた時に、「真剣交際に入りませんか?」と鳥羽さんに言われ、その申し出を受け入れた政子さんは、太田さんに“交際終了”を入れたのです。