その中でハロー!プロジェクトの特徴というのは、誕生の経緯的にも「地方から東京に自分の夢を背負って上京してきた」という女性アイドル像を、すでにひとつ確立していることです。

 東京で大きな夢を叶えていくだけでなく、地方出身者が東京から全国を回ることによって、何気ない地方のライブも夢の続きの特別なステージになる。

 そして現在も地方で暮らす女性たちにしてみれば、東京で頑張っているステージの女の子たちは純粋な憧れであるだけでなく、時には自身が叶えられない夢を託す存在にもなっているかもしれません。

ハロプロの歴史とは「地方の女性たちが東京で頑張ってきた歴史」

 先日の「Hello! Project 20th Anniversary!! Hello! Project 2018 SUMMER 〜ALL FOR ONE〜」北海道公演でも、ハロー!プロジェクト誕生20周年の記念企画として北海道出身のモーニング娘。1期メンバー・飯田圭織さん、そして同時期に活動していた2期メンバー・矢口真里さんがOGゲストとして登場。

 そして2人は、モーニング娘。時代に歌っていた「たんぽぽ」「恋をしちゃいました!」「ふるさと」の3曲を披露しました。

 会場のファンはイントロが流れると、自然と飯田さんと矢口さんが所属していたユニット「タンポポ」をイメージする黄色のサイリウムを点灯し、飯田さんはその光景を「地元札幌というのもあり、涙が出てきそうでした」と後のブログに綴っています。

 ハロー!プロジェクトの歴史とは、地方の女性たちが東京で頑張ってきた20年の歴史でもある。東京から遠く離れた北海道での大声援や、出身メンバーにかけられたたくさんの「おかえり」の声は、その確かな証明のようでもありました。

 ちなみにハロー!プロジェクトは現在、9月26日に20周年イヤーの記念シングル「YEAH YEAH YEAH/憧れのStress-free/花、闌の時」のリリースを予定しており、同タイミングですでに「全国各地の皆さまに会いに行きます」との告知もされています。

 東京では見えにくい、地方に“会いに来てくれるアイドル”。

 そんなハロー!プロジェクトのアイドルたちと地方ファン、そして地方女子ファンの大切な時間は、これからもまだまだ続いていきそうです。


乗田綾子(のりた・あやこ)◎フリーライター。1983年生まれ。神奈川県横浜市出身、15歳から北海道に移住。筆名・小娘で、2012年にブログ『小娘のつれづれ』をスタートし、アイドルや音楽を中心に執筆。現在はフリーライターとして著書『SMAPと、とあるファンの物語』(双葉社)を出版している他、雑誌『月刊エンタメ』『EX大衆』『CDジャーナル』などでも執筆。Twitter/ @drifter_2181