古舘プロジェクト所属の鮫肌文殊、山名宏和、樋口卓治という3人の現役バリバリの放送作家が、日々の仕事の中で見聞きした今旬なタレントから裏方まで、TV業界の偉人、怪人、変人の皆さんを毎回1人ピックアップ。勝手に称えまくって表彰していきます。第56回は山名宏和が担当します。

山崎夕貴 様

 今回、勝手に表彰させて頂くのはフジテレビアナウンサーの山崎夕貴さんである。

山崎夕貴アナウンサー

 これまで世間は山崎アナに3回驚かされてきた。

 最初はおばたのお兄さんとの交際が公になった時である。2回目はおばたのお兄さんの浮気が発覚した時。誰もが別れると思ったが、これを許し、交際を続行したことは、交際が公になった時以上の驚きだった。そして3回目は、おばたのお兄さんとの結婚。

 1年にも満たぬ間に、後味の悪くない驚きをこれだけ立て続けに提供した女性アナウンサーがかつていただろうか。裏はとっていないが、たぶんいない。

 そんな山崎アナがアシスタントを務める『フルタチさん』『モノシリーのとっておき』(ともにフジテレビ系)という2つの番組に、僕も参加してきた。そこで今回、山崎アナの素晴らしい! と感じる点を番組スタッフに聞いてみた。すると、何人もの人から同じような答えが返ってきた。

「制作側感が強い」

 そもそもテレビ局の社員なのだから、制作側=スタッフ寄りであるのは当たり前なのではと思われるかもしれないが、そう簡単な話ではない。女性アナウンサーという立場は難しい。出演者としてタレントと同じぐらい脚光を浴びることもあるし、プライベートを詮索されることもある。写真誌にも狙われる。そんなことが続くうちに、心の重心がタレント側にシフトしてしまったのでは、と思う振る舞いをする女性アナウンサーもいる。そんな中、山崎アナは、人気女性アナウンサーとなった今でも、確かに「制作側感」を失っていない。

 では、どんな場面でスタッフはそう感じるのか。たとえばそれはこんな場面だ。

「絶対に言ってほしいことをちゃんと言ってくれる」

 台本に絶対に言ってほしいことは書いてある。しかしスタジオの展開が台本通りに進むとは限らない。ここは話が膨らむと感じたら、話が横道にそれても、そこを広げていくのがMCの性分だ。もちろん、話を広げつつも、本筋のことは忘れていないとわかっているが、あまり横道が長いと不安になってくる。限りある収録時間。早く本筋に戻ってほしい!