2回も盗まれた

「俺が寝ていたところから、財布を置いていたところまで、4メートルもないんだよ。だけど、気づかなかった。もうあれだよね、プロだよね」

自宅縁側の鍵は開けたままで、ここから侵入されたと男性はみている
自宅縁側の鍵は開けたままで、ここから侵入されたと男性はみている
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 そう話す被害男性(78)に接触できた。5月31日の夜のことをはっきりと覚えているという。

「イスの上にズボンをかけて置いたんですよ。財布と携帯電話はポケットに入れたまま。それで俺、寝るの早いからさ。だいたい午後7時とか7時半とかに寝ちゃうから。

 あの日は夜11時半くらいにトイレに起きたんだよ。そしたらイスにかけていたズボンが落ちてるんだよ。何でだろうなと思って、朝起きて確認してみたら財布と携帯がなくなっていて、泥棒に入られたなって気づいたんですよね

 後から考えると、実はその半月前、5月12日にも、男性は泥棒に入られていたという。

「そのときは財布だけでした。盗まれたことに気づかずに、翌朝、近くのスーパーに買い物に行ったんですよ。レジの近くでポイントカードを出しておこうと思ってポケットに手を入れたら、財布がないんだよ。

 どこかで落としちゃったと思って、前日に行った店とかにも行って、財布届いてないですかって聞いたんだけど、“届いてないです”ってことでした。ただ、いま思うと、そのときも今回と同じように、イスからズボンが落ちていました」

 まさか泥棒に入られているとは露知らず、男性はどこかへ落としたものと思い、その際には警察には相談しなかったという。

 6月1日、盗まれたことに気づいた男性は、銀行や郵便局のキャッシュカードを止め、クレジットカード会社に盗難の連絡をし、知人に“交番に行ったほうがいいよ”と言われ警察署に行った。

 まんまと泥棒に成功した容疑者だが、男性が大変な思いで後処理をしているそのころ、あまりにもずさんなミスを犯していたのだ。

「犯行直後、盗まれた携帯電話から7回の発信が認められました」

 と捜査関係者。かけた相手のひとりが、すぐさま判明することになる。

 というのも、被害男性は盗まれたその日に、携帯電話の番号を変えずに、新しい機種を購入したからだ。