ココナッツオイルとの出会い

 お菓子を作る材料は、市販されている食材の中でも、なるべく身体にいいものを選んでいた。しかし、お菓子に欠かせないバターには、「美味しい反面、とりすぎはよくない」という意識もあった。

「わが子に食べさせたいかどうか」という基準に照らし合わせたときに、バターは好きだけれど、ベストな選択肢ではないと思える。そこに全国的なバター不足も重なり「じゃあ、バターにかわる油脂はないか?」と探し始めると、アメリカではお菓子を焼くときにバターの代用としてココナッツオイルを愛用しているという記事を発見する。

 しかし、当時の日本では入手することができなかった。そこで、アメリカからさまざまなメーカーのココナッツオイルを取り寄せ、お菓子を作り、食べ比べ、研究を重ねたのだ。

「ケーキ、マフィン、パウンドケーキ……どれもびっくりするくらい美味しくできました。コクがしっかりとあるし変なにおいがない。食べた後のすっきり感がある。胃もたれしなくて、身体にも優しくうれしいことばかり。私にはココナッツオイルが宝物に見えるようになりました(笑)」

 さらに、ココナッツオイルは、健康によいことが医学的にも証明されていることを知る。身体によくないといわれているトランス脂肪酸を一切含まず、母乳に含まれる成分と同じラウリン酸がとれるため、免疫力を高めるというのだ。

「日本中の食卓の油をかえるんだ! と気合が入りました」

  何とかして自分たちが販売するお菓子すべてにココナッツオイルを使いたいが、アメリカからの輸入では価格が高すぎて、お菓子の値段も上がってしまう。

 しかし、大きな問題にぶつかったときこそ、彼女のエンジンは全開になる。

 アメリカで売られているココナッツオイルのほとんどは、東南アジアで生産されていた。そこで、いろんな国の工場で作られたココナッツオイルを試し、良質だと感じたココナッツオイルの製造工場に連絡し、現地まで飛び視察。ようやくタイに納得のいく工場を見つけることができたのだ。

(前列左)大人気の有機エキストラバージンココナッツオイル  撮影/佐藤靖彦