キャッシュレス化のカギを握るとみられているのがスマートフォンを使った決済サービスです。

 なかでもQRコードを読み取るタイプの決済サービスはLINEのほか楽天、ソフトバンクとヤフー、アマゾンなど大手企業が参入しており、手数料無料など各社が加盟店の負担軽減策にしのぎを削っています。

 これが奏功すれば街中の小売店に決済端末が整備され、普及を加速させると期待されています。

 ところが三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、QRコード決済を知っている人は43%、利用したことがある人は8%にすぎません。しかも「利用したことはないし、今後も利用したいとは思わない」人が55%を占めているのです。

 これは冒頭のLINE Payが手数料無料を発表する直前に行われた調査結果ですので、現在の認知度や利用意向は上がった可能性もあります。

 ただ、デジタルネーティブである20代、30代でも半数以上が利用に消極的であるとの結果は、普及への遠い道のりをうかがわせます。

 これだけキャッシュレスへのモチベーションが低い要因には、現金払いで不便がない環境が影響しているようです。

 上述の調査では、現金払いしかできずに困った経験がある人は全体の47%という結果も得ています。つまり半数以上の人は現金払いのみの店舗でも不自由なく買い物をしているわけです。

 20~30代では現金払いのみで困った人のほうが多く、世代間で差がありますが、現金主義でもさほど生活に困らなければ、あえて行動習慣を変えてまでキャッシュレスにするモチベーションは湧かないのでしょう。

 そこでQRコード決済サービスの多くは、決済した消費者にポイントを付与しています。楽天ペイでは初めて使う人はもれなく1000ポイント、買い物時には決済金額に応じて0.5~1%(一部キャンペーン時にはそれ以上)のポイントがもらえます。

 LINE Payも決済金額に応じたポイントを付与しており、条件を満たしたユーザーには期間限定で3%を上乗せしています。こうしたインセンティブは高還元率をうたうクレジットカードにも見劣りしないレベルです。

消極的な人は、浪費しそうで怖い

 それでもキャッシュレス決済に二の足を踏む人には、「お金の管理が難しくなる」という不安があるようです。

 さきの調査結果を見ると、QRコード決済を使いたくない人は、使いたい人よりも「仕組みは知っているが、利便性を見いだせない、必要性を感じない」や「使いすぎてしまうおそれがある」という傾向が強いのです。