親に対する刑罰のような仕打ち

 今年8月には、こんなケースが。夕方帰宅した夫が妻と会話をしている隙に、生後11か月の赤ちゃんがソファから転落し嘔吐。夫婦は急いで救急車を呼んだ。

脳神経外科医の藤原一枝さんにはさまざまな著書がある
脳神経外科医の藤原一枝さんにはさまざまな著書がある
すべての写真を見る

 前出・藤原医師が、その後の経緯を伝える。

急性硬膜下血腫と眼底出血が認められ、診断をした医師は児相に通告したのです。落下事故の3日後から、乳児の収容先も知らされず、面会謝絶状態の『一時保護』に。児相からの書類には、『児童の養育状況、監護状況を調査確認する必要があるため』とだけ書かれていました。

 14日後の判定会議の結果、“自宅に帰す方針”と告げられたが、やっとわが子に会えたのはその1週間後で、面会はたった1時間。一時保護から18日もたっていました。自宅に戻れたのはその3日後、事故から24日目でした

 当時の心境を、母親がコメントで寄せてくれた。

「私の不注意でもあるため医者が疑い、児相に調べられるのは仕方ないが、何が問題だったのか明確にしてほしい。ただの疑いでしかないのに行政処分(一時保護)は、強権的で長すぎる。『親子分離』をされたときは、子どもが親のことを忘れないか心配でした。『面会謝絶』は、親に対する刑罰のような仕打ちです。

 乳児院へ移った際には『熱が出た』と連絡をもらったが、問題が起こったら児相が責任をとってくれるのでしょうか。自宅に子どもが戻ったときも、なんの説明や謝罪もなく、疑いは晴れたのかもわからず今も家庭訪問をされています」