がんと合コンの日々を描いた白戸さんの作品。乙女ながん患者の心の内が切ない (C)白戸ミフル/キノブックス
がんと合コンの日々を描いた白戸さんの作品。乙女ながん患者の心の内が切ない (C)白戸ミフル/キノブックス
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 抗がん剤治療では吐き気のほか、大量の抜け毛もあった。シャワーでごっそり抜け落ちた髪の毛が、べっとりと手に張りついたのを見て“これはきっと海苔だ”と思った。頭ではわかっていたものの、現実を受け入れられなかったという。

「でも、だんだん慣れてきたんです。いいこともけっこうあったし。まず食欲がないからやせたし、抗酸化作用の高い野菜をたくさん食べるので、便秘が解消して肌がツヤツヤでキレイになりました。

 それに、身体中の毛が抜けるので、手足も脱毛いらず。眉は描いて、まつげはつけまつげに。2000円ぐらいのファッションウイッグをショートからロングまでそろえて、休日は気分で使い分けたり

 合コンではかなりモテたという白戸さん。何人かとデートしたり、お誘いに心が動いたり。頻度は減ったものの、治療中も合コンや飲み会に参加して、お酒も飲んでいたというのだ!

「私は人と会話をして、お酒を飲むことが大好き。がんにストレスは禁物なので、お酒の量に気をつけながら楽しんでいました」

 ただ、恋愛にはあまり積極的になれず、それよりもマンガを描くことに力を注いできたという。

 がんと診断されてから5年、手術と術後の放射線治療を経て、長らく続けてきたホルモン治療も、もうすぐ終わろうとしている。マンガは出版社に持ち込んだ合コンマンガが電子書籍で出版され、デビュー。今年6月には、がん闘病マンガが出版された。

この取材の後、友人らとスペイン・イビサ島へ旅行。さすがのパリピ感は健在! 海やグルメ、夜遊びを堪能
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「いまは平日が会社員、週末は漫画家兼ライターの二足のわらじです。合コンは週1回ぐらいに減りましたけど、お酒はフルに飲んでいますし、最近は“せんべろ(1000円でべろべろに酔える飲み屋)”がマイブームです。

 いまこうして生きているからこそ言えますが、乳がんになってよかったと思う。そうでなければ、きっとまだ合コンばかりして、時間が有限だなんて気づきもしなかったでしょう」

 そう語る白戸さんのいまの目標は、「漫画家兼ライターの仕事だけで生活できるようになって、世界一周婚活の旅に出かける」こと。白戸さんが各国から渾身の婚活レポートを送る日は、そう遠くないかもしれない。


白戸ミフルさん ◎タレント活動、広告代理店を経て、現在は化粧品メーカーに勤務しつつ、漫画家、ライターとして活躍。著書『乳がんステージ4だった私が、それでも合コンに行きまくって救われた話』(キノブックス)が話題。