その理由はこうだ。

「今回の増税では食料品が上がりません。そういうものを買っておく必要がありません。他の商品に関しても、今回は還元セールが解禁になります。前回の増税では還元セールはしてはいけないことになっていました。

 上がる前に買いだめなどをすると、増税後はみんな物を買わなくなります。でも物が売れなくなると小売業界は困りますよね。そこで還元セールが出てくるんです」

 その還元セールが激しさを増すケースを、こう想定する。

「A店では還元率が2%だとすると、B店は3%、C店は4%と還元セール競争になりますよ。還元するのはキャッシュとは限らない。その店で使えるポイントで10%還元しますという可能性もありうる話です。ですから、いま焦って何かを買う必要はないのです」

買いだめが必要なものは?

 飲食料品の心配はそれほどでもないにしても、エアコンやパソコン、マンションや車、結婚式といった大型消費となれば、2%の差は大きい。

 前出の識者3人の意見は、

「大型商品の価値は毎日変動して、2%くらいはすぐに変わっていくので、無理して買いだめをしないほうがよいと思います。自動車に関しては増税後に軽減措置がとられる予定です。住宅を新築する場合には(早めの対策が)効果があると思いますが、これも軽減措置がとられるので、その内容次第だと思います」

 と森永氏。柏木氏は、

「住宅工事は、来年の10月1日より前に契約すれば、税率は8%になります。工事が増税後に始まっても大丈夫です」

 と指摘するが、

「いま買うのがいいのかどうかはわからないですね」

 と先々の住宅景気の不透明さに含みを持たせる。

 荻原氏は、

「マンションなども、半年前に契約しておけば2%引きになるなどといいますが、オリンピックが終われば不況になります。そこでマンションを購入したほうが安いんです。マンションは売れ残りが出ると、500万円とか1000万円値引きします。いま購入を焦る必要はありません」

 と長期戦の構えを説く。家電製品などについても、

消費税が2%上がる前よりも、年末のボーナス商戦で買ったほうが絶対に安いんですよ。年末の在庫処分や新商品の登場で型落ちの商品などは1~2割の値引きどころではありませんから。2%で焦る必要はないということです」