“ツンデレ”具合もたまらない

 また一方で、家族構成の変化も、ブームを後押ししているという。

「核家族化、少子化、それから共働きが多くなったことも関係していると思います。はかまってあげないといけない動物ですが、ほどではなく、餌と水さえ与えていれば、家を空けても大丈夫なところがあります。泊まりがけのときものほうが出かけやすいということにもつながる」

 一戸建てではなくマンション住まいが多くなったことも一因。のように大きな声で鳴かないので、近所迷惑になりにくく飼いやすい。現代の住環境に適したペットといえるのだ。

 さらに赤川教授は、愛家の立場でこう分析する。

の性質もある。例えば、は独立心が強く、のようにはなつかない。どれだけ愛情を注いでも、愛情を返してくれるとは限りません。飼い主にとっては“見返りのない愛”ですが、たまに甘えてくれる。そこがたまらないんです」

 また、関係性が変化するところも、ならではの魅力だという。

「飼い始めたころは赤ん坊のようですが、成になると、息子(娘)になり、次には妻(夫)、あるいは愛人のような存在になる。相談相手のような存在にもなるんですね」

 そして10歳を越えると、今度は親のような存在に。晩年は人間と同様、介護の対象となる場合も。その親たるを失ったとき、ショックは計り知れないものがある……。赤川教授も、ようやく最近、6年間のペットロス症候群から抜け出したばかり、と打ち明ける。

「本当の親を亡くしたときよりショックが大きいという人までいるそうですから。いずれにしても、わずか20年足らずの間に、関係が変化するところもならではといえます」

 さらなる盛り上がりを見せそうなブーム。だが、そこには光があれば影もある。右肩上がりの飼育頭数の裏で、殺処分されるがあとを絶たない。ペットショップでの生体販売や、悪質業者による遺棄、多頭飼育の崩壊も社会問題となっている。これらに対し動物愛護の観点から、法整備を求める声も根強い。

 動物愛護管理法が2013年に施行されてから5年、今年は同法の改正年である。そこでも取りざたされているペットの流通をめぐる課題に、まずはスポットを当てていこう。