来年、2020年をもって活動を休止する嵐。嵐だけを見つめて、彼らへの愛を語るのはたやすい。けれど、あえて嵐でなく“彼らと過ごした時代”にフォーカスすることで、見えてくるものがきっとあるーー。

 注目の嵐ツアー『ARASHI Anniversary tour 5×20』の当落が、3月13日に出そろった。FC会員からは、悲喜こもごもさまざまな声が上がっている。そして、毎年恒例の『24時間テレビ42 愛は地球を救う』(8月24〜25日)のメインパーソナリティーに就任というビッグニュースも届いたばかりだ。

 来年、2020年をもって活動を休止する嵐。

 くしくも今年、2019年は嵐の結成から20年。“産声(うぶごえ)”を上げた彼らが、ついに“成人”に至る年だ。正直そんなにたった気はしないし、だからこそ「やめないで」とも思う。しかしながら、時間は確実に嵐にも私たちにも流れていて、「これからどう歩くの?」と問いかけてくる。

1999年、“恐怖の大王”から2か月遅れで来た“嵐”

「1999年って何があったの?」

 アラフォー以上の世代に聞けば、嬉々として「ノストラダムスの大予言ってあったよね!」と話してくれる人がいるはずだ。“1999年7の月に空から恐怖の大王が降ってくる(地球が滅びる)”という説が流行(はや)ったが、もちろん大王はこれをすっぽかし、かわって日本には2か月遅れで“嵐”がやってきた。

 彼らは“恐怖”からはほど遠く、どこか生まれてしまった戸惑いをもてあましているような、シャイで可愛い少年たちだった。

 当時はタッキーこと滝沢秀明さんを筆頭に、まさにジュニア黄金期の真っただ中。彼の主演ドラマ『魔女の条件』(1999年4月〜6月放送)は最高視聴率29.5%を叩き出し、タッキーこそV6、KinKi Kidsに続く次期CDデビュー候補に間違いないと読まれていた。

 そんな彼を留め置き、同年9月に結成された嵐は、11月に『A・RA・SHI』(フジテレビ バレーボールワールドカップのテーマ曲)でCDデビューを果たす(ちなみに、同年のヒット曲ランキング第1位は『だんご3兄弟』。ジャニーズからは第10位にKinKi Kidsの『フラワー』がランクインしている)。

 これはよい意味での番狂わせや、新しい価値観の象徴となる采配だったように思う。
世の出来事に目を向けると、同年1月から“iモード”(NTT docomoによる携帯電話のIP接続サービス)がスタート。巨大掲示板“2ちゃんねる”(現・5ちゃんねる)が開設されたのもこのころで、嵐も私たちも、エールから悪口まで否応なく“見知らぬ他人の思いにリサーチされる人生”に踏み出すことになった。

 よくも悪くも人の本音が可視化されてしまう、不思議な時代の始まりだ。