少しふっくらした見た目に清楚系ファッション。笑顔でおしとやかな受け答え。そこから、

「ミュージック、スターティン」

 の掛け声とともに音楽が流れた次の瞬間、

「♪ぅあああ〜〜いぐわぁ〜 すぶぇ〜てすわぁ〜〜」

 突然、大股を広げ、野太い声でハウンドドックの『ff(フォルテシモ)』を熱唱する。ほかにも、武田鉄矢や吉幾三などを歌いこなし、見た目と低音ボイスとのギャップがウケ、ブレイク中のモノマネタレント・りんごちゃん

『2周目』でどう生き残るか

「大きく注目を集めたのは、今年のはじめに出演したバラエティー番組『ウチのガヤがすみません!』(日本テレビ系)でこの芸を披露したのが最初だと思いますが、そこから一気に人気が広がって、今年イチ、ブレイクした芸人のひとりになりましたね」

 と、あるテレビ誌記者は言う。

「見た目の愛嬌(あいきょう)あるかわいらしさが、ゆるキャラ的な魅力があり好感度を集めています。その魅力が強ければ強いほど、歌声とのギャップが面白い」(同)

 現在、各バラエティーに引っ張りだこ状態であるが、この人気はどこまで続くだろうか。あるテレビ局関係者は言う。

「今は、よくいう『1周目』の状態で、いろいろな番組に呼ばれているわけです。好感度も高く、共演者たちも一度見てみたい、という気持ちが強い。でも、問題はその先なんです。

 いってみれば、今のりんごちゃんは見た目と歌声のギャップという、『出オチ』的なものですからね。そして、モノマネのバリエーションも、それほど豊富ではなさそうです。今の状態のままだと、飽きられるのも早い気はします」

 ギャップだけの笑いは、見慣れてしまうと人気の持続は難しいのがテレビの世界。では、りんごちゃんの場合、『2周目』以降のキャラはどうしたらいいのだろうか。

「この先、どの方向で売っていくかですよね。もともと『ガヤ芸人』として出てきたように、ひな壇系で活躍していくのか。または、はるな愛さんのような、しゃべれるオネエ系のタレントとしていくのか。いずれにせよ、それにはトーク力やリアクション力が必要となります。

 りんごちゃんの場合は、オチを活かすためという理由があると思うのですが、今のところ“おとなし目の受け答え”をするキャラとなっているので、ひな壇で立ち上がってガヤをするようなタイプではありません。

 MCに指名されて芸を披露するタイプですから、『2周目』以降で活躍するためには、やはりこれまでと違うモノマネのバリエーションを作るか、トーク力を上げていくかがカギとなってくるのではないでしょうか

 モノマネタレントとしての可能性についてもこう見る。

「武田鉄矢さんや大友康平さんなどのモノマネは、比較的やりやすい芸なんです。りんごちゃんは持ち歌を歌っているだけで、今、流行りの細かなところを突いてくるモノマネではないため、やはり立場は弱い。とはいえ、ギャップで笑いをとるというのは、大きな発明だと思うので、普通のトークのときなどに地声(野太い声)で受け答えしするとか、歌以外でもギャップを出せるといいかもしれませんね」(前出・テレビ局関係者)

 秋の特番から年末年始にかけて、ますます引っ張りだこになる予感はある。2019年の象徴になることは間違いなさそうだけど、「りんごの食べごろ」はどこまで続くだろうか。

取材・文/渋谷恭太郎