「大河ドラマよ? クレジット見た? 3番目よ!? これは快挙としか言いようがないんじゃないの。石川さゆりさんより前に(名前が)出てくるんだから」

 放送中のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』に岡村隆史が出演。その好演ぶりが話題になっている。岡村自身もよほどうれしかったのか、自身のラジオ番組で興奮ぎみに大河へ出演したうれしさを爆発させた。

 昨年公開された映画『決算!忠臣蔵』など、映画の主演経験がある岡村だけでなく、最近は吉本芸人のドラマ進出が目立つ。冬ドラマで特に話題を集めているのが、平成最後の『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)を制した霜降り明星。ツッコミの粗品は『絶対零度』(フジテレビ系)、ボケのせいやは『テセウスの船』(TBS系)とコンビそろって人気枠でドラマデビューを果たした。ドラマに詳しいフリーライターの田幸和歌子さんも2人を絶賛する。

せいやさんは素朴ながら、真犯人かも……と思わせる怪しさも持ち合わせた演技で、作品の世界観にマッチしていて驚きました。粗品さんも“スプーンに映った小栗旬”とネタにされるように、整った顔立ちなので役者として違和感がまったくない。2人ともバラエティーも演技もできる貴重なコンビです

 冬ドラマには霜降り明星以外にも多くの吉本芸人が出演しているが、これは偶然ではなさそうだ。

最近、ドラマプロデューサーへ営業に行くと、かなりの確率で吉本芸人の資料も置いてあるんです。なんでも吉本のマネージャーがドラマ部のほうにも熱心に売り込みをかけているそうで。闇営業騒動でバラエティーの仕事が減ってしまったため、それを補うためにドラマなどお笑い以外のジャンルにも熱心に売り込んでいると聞きました」(芸能プロ関係者)

 多くの人気タレントを抱えるジャニーズ事務所にも異変が起きている。これまでは、デビューグループのメンバーが主演を務めることが多かったが、最近は3番手以下で出演する若手のジャニーズが目立つ。ジャニーズ評論を雑誌などに寄稿する、ジャニヲタのトモコさんに聞くと、

主演以外で出るジャニーズが増えたわけではなく、“主演を務められるジャニーズタレントが減った”が正しいでしょう。SMAPの解散に加えて、嵐が活動休止を発表。また錦戸亮さんが退所した影響で、ジャニーズ主演ドラマが圧倒的に減少しています。先輩のドラマに抱き合わせで出してもらえなくなったため、ほかの作品でキャリアを積むという昔のスタイルに戻っただけだと思います

 前出の田幸さんは、昨今のドラマ業界の戦略もあるのでは……と分析する。

「最近は視聴率で苦戦するドラマが多いため、SNSなどでの盛り上がりを含めた“視聴熱”も重視されています。ジャニーズは熱心なファンが多いため、推しのメンバーが出ていると積極的にSNSで発信してくれる。日テレ系の『知らなくていいコト』4話にHiHi Jetsの井上瑞稀くんがゲスト出演した際には、出演シーンが短かったにもかかわらず、ツイッターでトレンド入りしたほど。Jr.やデビューして間もないメンバーのファンほど、次の仕事につながってほしいという思いから熱心にSNSで発信する傾向があるため、若手ジャニーズの起用が増えているのでしょう

 不況により、経費削減を強いられているテレビ局側の切実な事情もあるようだ。

最近はノーギャラ+交通費自己負担のボランティアエキストラに頼っているドラマがほとんど。2時間ドラマなどはボランティアエキストラの確保に苦戦しますが、ジャニーズが出演する作品は、参加特典の番組オリジナルグッズ目当てのファンから応募が殺到するため、現場スタッフからは重宝されています」(制作会社ディレクター)

 吉本とジャニーズに同じような動きが見られるのは、昨年の報道も大きいのでは? と田幸さんは言う。

吉本は所属芸人の闇営業報道。ジャニーズはテレビ局に圧力をかけた疑いで公正取引委員会から注意を受けたことで、事務所のイメージが大幅にダウンしました。もともとこの2社はネットでバッシングされやすい芸能事務所の2大巨頭。そのため悪目立ちしてこれ以上叩かれないよう、細かい仕事をこなす路線にシフトしている印象です

 とはいえ、大手事務所が売り込んだからといって、すぐに使ってもらえるほど甘くないのがドラマ業界。

 今期ドラマに出演しているジャニーズ&吉本芸人は実力派ぞろいとトモコさんと田幸さんは太鼓判を押す。

「今年SixTONESのメンバーとしてメジャーデビューを果たし、現在フジ系の『10の秘密』に出演中の松村北斗さんはJr.時代から数多くのドラマに出演する実力派。このままドラマの主力になる実力とルックスを兼ね備えていると思います。個人的には日テレ系の『やめるときも、すこやかなるときも』に出演しているA.B.C-Zの五関晃一さんがイチオシ。昨年放送されたメ~テレのスペシャルドラマ『ぼくらのショウタイム』でも、その存在が光ってましたが、今作も“圧倒的脇役”として輝いています」(トモコさん)

「吉本新喜劇出身の藤井隆さんは、今や俳優のイメージが強いぐらい。意外だったのはミキの昴生さん。ムードメーカー的存在という従来の芸人の起用法ですが、今回のドラマ出演で器用な人ということがわかったので、オファーが増えそうです」(田幸さん)

 西川きよしのキャッチフレーズ“小さなことからコツコツと”方式で地道に頑張るジャニーズと吉本俳優が苦戦するドラマ界を救うかも!?