頬を叩かれても「いい思い出」

「まず、チューは強引な入り口なんですよ。はじめに、無理やりにでも相手にチューをしてみて反応を見るんです。それで、“いけそうだな”という感触があったら、その先へ進みます」

 なんとも最低かつ、法に抵触しそうな理論だ。この場合、“いけそう”な反応とは、「拒否するそぶりをみせないとか、ちょっと微笑(ほほえ)むとか」と話し、相手に強い拒絶反応がなければ「合意した」とみなすとのことで、開いた口が塞がらない。

 森谷氏のように会社でそれなりの地位がある男性や、ましてや社長からのアプローチであった場合、相手は立場上、強く拒否できない場合もあるのではないか。しかし、森谷氏や石川氏はそうした女性の葛藤は理解できないようで、こう続ける。

「もちろん、拒否というか、“何するんですか!”って頬を叩かれることもありますよ。でも、それもいい思い出って感じかな。いったんはそこでチューをしたり、その先に進んだりすることはやめますけど、頭では“次はいつ挑戦しようかな”って考えていますね」

 基本的に「ホテルに行く?」と聞くのは、女性に対する礼儀のようなものだと考えているそうで、OKしてもらえるかどうかは「サイコロを振って奇数が出るか偶数が出るかみたいな感覚」だという。どちらに転んでも確率は50%だから、たとえ断られたとしても、「だよね~」くらいに軽く受け取り、傷つくことはなく、またサイコロを振るのだという。

「まぁ、5~6回も断られたら諦めますけど。いや、諦めないかな。また2人きりになったら“あ、今日はいいのかな”って思うかも」

 なんと、彼らは不死身。「2人きりになる」=OKのサインとみなされるのであれば、何か“もっともらしい理由”で呼び出されたとしても、2人でいること自体が危険な行為となってしまう。こうしたタイプかもしれないと感じた男性に対しては、「何がなんでも1対1にならない」「少しも気のあるそぶりを見せない」「敬語で接し、必要最低限の会話以上に距離をつめない」ということくらいしか、対処法がないとすら思えてくる。

 とはいえ、会社で普通に働くうえで伸びてくる“魔の手”に対し、女性側の自衛ばかりが求められるのはおかしい話だ。しかも、森谷氏は石川氏の今後について、「おさまらないんじゃないかな。次はバレないように(“新規開拓”を)やると思う! 自分も、今回の報道を受けて何かを変えようとは思わないかな~」と、恐ろしい発言をする始末。

 社員を私物化し、ゲーム感覚で“恋愛ごっこ”を楽しもうとする男性たちは今回の辞任騒動により、森谷氏のような“しぶとさ”を捨て、「明日は我が身」と少しでも感じるところがあれば……。と、願うしかないのだろうか。

(取材・文/松本 果歩)