6月14日の放送休止から実に2か月半─8月30日に放送再開が決まったNHK大河ドラマ『麒麟がくる』。だが、ファンも待ち望んだリスタートを前にして恐れていた事態が起きてしまった。主要キャストのひとり、細川藤孝役の眞島秀和の新型コロナ感染が明かされたのだ。NHK関係者がため息を漏らす。

「発表になる数日前に、急に撮影が飛んだんです。“誰かが感染しちゃったらしい”とスタッフの間ですぐに話が出て……。眞島さんは現場では入念なアルコール消毒はもちろん、フェイスガードもしていましたし。日常生活も相当に気をつけていたそうですが……。“あれだけ厳重にやっていたのに”と、驚きを通り越して諦めの境地です」

 別のNHK関係者は、

「眞島さんは寡黙そうに見えて話し上手、聞き上手なんです。主演の長谷川博己さんが撮影になると役に入り込んじゃって雑談もしなくなるタイプなので、眞島さんがいてくれると撮影が和やかに進むんです。早く戻ってきてほしいけど」

濃厚接触者はいないというが…

 眞島は現在も隔離療養中だというが、発熱もおさまり快方に向かっているという。また眞島が最後に撮影に参加したのは発症の1週間ほど前でスタッフや共演者に濃厚接触者はいなかった。だが─。

「現場は“眞島さん以外のコロナ感染者がきっと出てくる”と覚悟していますよ。でも、たとえそうなっても“撮影は止めない”という方針に決まったようですね。よほどの事態にならない限り」(前出・NHK関係者)

 これには切実な事情がある。撮了までのタイムリミットが迫っているのだ。

 全国的なコロナ感染拡大に歯止めがかからない中、『麒麟がくる』も3か月間の撮影中断を余儀なくされた。ゆえに、ただでさえスケジュールは過密状態。さらには、撮影そのものにも想定以上に時間がかかっている。

「とにかくスムーズに進められないんです。“密”を避けるため、スタジオにもメイクルームにも人数制限があったり、撮影の合間合間に換気タイムも入れないといけませんし。現時点ですでに、最終回は来年に持ち越し確実です」(制作会社関係者)

 2021年になれば、次の大河、実業家・渋沢栄一の生涯を描く『青天を衝け』も控える。

「だからこれ以上、何が何でも遅らせられないんです。さらなる遅れや再中断は即“打ち切り”に直結する状況ですから。NHKにとっても大河は金看板。それを“尻切れトンボ”で終わらせることは、絶対に避けたいですから」(前出・NHK関係者)

 そのために、NHKは“秘策”を打ち出した。

「報道では“眞島さんの出演シーンの収録を後回しにして乗り切る”となっていますが、実際は少し違うんです。現場では眞島さんがいるはずだったシーンも“復帰を待っていられない”と撮影はどんどん進めていて。“眞島さん抜き”で撮影しちゃっているんです。撮り切るには現実的にこれしかないですからね」(前出・制作会社関係者)

 台本の変更もなし。眞島のセリフもそのまま。でもコレ、どうしてるの!?

「いま撮っているパートは眞島さんは比較的セリフが少ない“いるだけ”のシーンが多いんです。眞島さんのセリフは、同じシーンにいる“藤孝の兄”三淵藤英役の谷原章介さんのセリフに振り替えることになりました。みんな“走り切ろう”とヤケ……いや、必死ですよ」(前出・制作会社関係者)

 秘策ならぬ、苦肉の策か。