浅香光代さんの四十九日法要は、コロナの影響を考慮して行いませんでした。せめて納骨はしようということで、息子さんたちが遺骨をお墓に納めたのですが、長年連れ添った世志凡太さんの姿はなかったそうです。彼は“浅香さんが亡くなった以上、自分はもう関係ない”と言って、法要があっても行くつもりはないと周囲に話していました」(浅香さんの知人)

 浅香さんが膵臓がんで亡くなったのは、昨年の12月13日。92歳だった。

「9歳で剣劇の世界に入りスターに。江戸っ子らしいハキハキした話しぶりが人気で、1999年には野村沙知代さんとの“ミッチー・サッチー騒動”が話題になりました」(スポーツ紙記者)

 彼女の人生は、まさに波瀾万丈と言える。

「若いころに、妻子ある政治家との間に2人の息子をもうけています。その後も結婚と再婚を繰り返し、1992年からはコメディアンの世志凡太さんと、事実婚の関係で晩年まで暮らしていたんです」(同・スポーツ紙記者)

 血のつながらない父と子だが、どうやら彼らの間で浅香さんの遺産相続をめぐって不協和音が生じていたようだ。

遺産の分配について、世志さんは自分が2分の1を受け取り、残りを息子2人で分けるように提案しました。でも、息子さん側は納得せず、3人で均等に分けるべきだと主張したんです」(前出・浅香さんの知人)

 彼女が持つ財産でいちばん高額と考えられるのは、事務所兼自宅として使っていた浅草の5階建てビルだろう。

「浅草寺からほど近く、築30年ほど。似たような立地条件ですと、おおよその売却価格は5000万円くらいになると思います」(不動産関係者)

内縁の配偶者に相続権はない

 世志の主張は妥当なのか。『弁護士法人 天音総合法律事務所』の代表弁護士である正木絢生氏はこう語る。

「法律上、内縁の配偶者が亡くなった場合に、残された配偶者に相続権は認められていません。したがって、世志さんには浅香さんの財産を相続したとして、当該財産の分配を請求する権利はありません」

 一緒に過ごした時間の長さにかかわらず、本来なら相続する権利はないようだ。ただ、仮に3人で分配するとなれば、世志の手元にはいくら入るのだろうか。

「ビルの売却価格が5000万円だとしたら、相続税を差し引くと4920万円。その売却した現金を3人で分けることになるかと思います。ただし世志さんの場合、相続権がないために財産の分配を受けると、息子さんたちからの贈与ということになると思います。そうなると、世志さんとしては贈与税の約515万円を負担することになり、取り分としては少なくなってしまうと思われます」(正木弁護士)

 世志と息子側の対立は、お金のことだけではない。“浅香光代”というブランドに関しても、意見の相違があった。