「地元出身じゃないのに地域に根づいて懸命に働き、その政治姿勢が認められて地域に受け入れられた議員さんなんです。特に子育て支援や子どもの教育問題に熱心でした。表の顔が立派な人ほど裏の顔があるんですね。いったい何を血迷ったのか」

 と自宅近所の女性は絶句する。

 有権者から政治的評価の高いこの男、静岡県富士宮市の市議会議員・野本貴之容疑者(40)。小学生女児のスカート内を盗み撮りしたとして5月27日、県迷惑行為等防止条例違反(盗撮行為)の疑いで県警捜査1課と富士宮署によって逮捕された。

 県警によると、昨年9月下旬ころ、県東部地区で被害女児のスカートの中を携帯電話で撮影して記録した疑いが持たれている。

「別の事件の捜査で押収した証拠品を調べていたところ、本件犯行が判明して逮捕に至ったもの。盗撮の詳細な手口は、捜査中のためお答えできない」(捜査関係者)

 地元の記者によると、別の事件とは、より悪質な強制わいせつ。

「まず強制わいせつ事件に関わった可能性が浮上。携帯電話から動かぬ証拠が出てきたため盗撮については認めているようだ。逮捕案件の犯行は動画モードで撮影していたせいか、被害女児と保護者は盗撮されていたことに気づいていなかった」(地元の記者)

 強制わいせつ事件の捜査は続いているという。

女性が接客する店には誘われても行かず

 冒頭の女性が「裏の顔」と評するように、かかる嫌疑は表の顔とギャップがありすぎる。

 野本容疑者は、桶狭間の戦いがあったことで知られる愛知県豊明市の出身。国立の静岡大学を卒業後、衆院議員の公設秘書などを経て2011年に富士宮市議に初当選。常に上位当選し、3期目に入ったところだった。

「民主党系の市議です。民主党分裂を受けて直近2019年の選挙は国民民主党公認で戦いながら前2回とほぼ変わらぬ票数を獲得するなど有権者の信頼を得ていた。野党共闘には批判的な立場でした」

 と市議会関係者。

 選挙に強いだけではない。

 スローガンは「子育て世代の挑戦!!」で、地元小学校のPTA会長や富士宮市学校評議員を務めるほか、市内の小・中学生を対象とする無料学習塾の運営にも携わってきた。いわば“子どもの味方”のはずが、裏では子どもを毒牙にかけていたわけだから周囲が受けたショックは大きい。