1月20日の東京都の新型コロナモニタリング会議では警戒レベルを「最も深刻なレベル」へ引き上げる事態となった。

 だが、コロナにまつわる情報は信憑性の高いものから眉唾なものまで、錯綜している。豊洲はるそらファミリークリニックの土屋裕先生にその真偽について直撃した。

●オミクロンはただの風邪で症状も対処法も同じ?

 現在、感染爆発を引き起こしているオミクロン株。これまでのどの株よりも感染力は高いが、重症化リスクは比較的少ないというデータもある。なかには「ただの風邪と同じようなものでは?」と警戒を緩める人もいるが……。

「たしかにオミクロン株の症状は発熱やのどの痛みなど風邪の症状と似ていて、無症状の方も多いようです。しかし、当院でも糖尿病のある高齢の方が重症化した例がありますし、第5波のときも感染者数が増えてから約2週間遅れで重症者数が増えました。感染者数が増えれば当然、高齢者、合併症がある患者の感染者数も増えるので、必然的に重症者数の増加が予測される。もしただの風邪なら高齢者が重症化して集中治療室や人工呼吸器をここまで使ったり、病床を圧迫するということはないでしょう。その点でもオミクロン株と風邪を同等に考えることはできません」

●日本人は特殊な免疫を持ち、感染しづらい?

 日本の新型コロナ感染者数が欧米と比べて少ないのは、日本人特有の要因があるのではという都市伝説もささやかれているが、その真相は?

「日本人の6割ほどが持っているHLA-A24という型の細胞性免疫が、季節性と新型の両方のコロナウイルスに有効に働くということが国内の研究グループによって昨年末に確認されました。ただし、この感染状況を見てもわかるように、まったくコロナにかからないといった類の“特殊免疫”ではないですし、HLAについてはまだまだ研究段階。細胞性免疫活用への期待は大きいですが、すぐに治療や予防に活用できるかというと、まだまだ時間がかかると思います」

●オミクロン株の感染予防はうがいが有効?

 オミクロン株は鼻からのどまでの上気道で増殖するので、予防にはうがいが極めて有効という噂も。事実ならば、またうがい薬が品切れを起こす事態にもなりそうだが……。

「新型コロナではウイルスが口内の細胞に感染し、増殖している様子が確認されています。ただし、口内にウイルスが吸着してから細胞内へ侵入するのにかかる時間は、数分~20分ほど。ウイルスがのどに入り込んだ瞬間に即座にうがいをすれば洗い流すことも可能かもしれませんが、実際はうがいの効果は低いと考えられます。また、ポビドンヨードのような市販のうがい薬でこまめにうがいをしすぎると感染を防御する細菌層を壊してしまい、逆に感染を起こしやすくなるという研究もあります。しないよりはしたほうがいいと思いますが、うがいに過度な期待はしないほうが賢明ですね」