研究熱心な性格は、ラジオでも発揮された。

「大学時代、バイトで稼いだお金で、地元のラジオ局の1年間分の枠を買って、台本や音楽、お便りメールなど全部自分で用意して『マリンのヒットナイトスタジオ』という番組を放送していました。当時のラジオは、恥ずかしくて、今は聞けませんが“今のマリンも素敵だけど、初々しい感じもよかった”と言ってもらえるので、やってよかったです」

昭和を広めていくために

 夢に向かって努力を惜しまない阪田。今、彼女が力を入れているのは、ザ・ブラックキャンディーズというユニットでの活動だ。

「2人組で昭和を広めていくための活動をしていて、新宿のゴールデン街でイベントも開催しました。今年の昭和の日・4月29日にデビューしましたが、活動期限は決まっていて、あと2年。昭和100年をもって解散すると決めています。ズルズルするよりも、スパっと辞めるほうが、一生懸命にできるし、かっこいいかなと思うので」

 山口百恵のような潔さ。どこまでも昭和を貫く阪田が考える、昭和の魅力とは?

『ザ・ブラックキャンディーズ』(写真/本人提供)
『ザ・ブラックキャンディーズ』(写真/本人提供)
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「今って、何でも簡単じゃないですか。音楽を聴くのは、スマホの配信アプリで好きな曲を押すだけ。そういうものがなかった時代は、レコードを選んで、ターンテーブルに置いて、針を落として、それからやっと音が聞こえてくる。だからこそ、1曲1曲のありがたみが分かるというか。そういうところが良さだと思っています」

 阪田さんは、昭和の“ドキドキ感”にも憧れているという。

「スマホがなかった時代は、家の黒電話に連絡をしていたと思うんですが、好きな人に電話をかけるとき、“お母さんやお兄ちゃんが出ちゃったらどうしよう”って緊張しますよね。勇気を出してかけた上で好きな人が出てくれたときの喜びって大きい。今の時代では味わえないものだなと思っています。今は今で便利だし、無いものねだりだなとは思うんですけど(笑)」

 昭和の魅力を知り尽くしているものの、自身の発信を“想像でしかない”と語る。

「私は実際に昭和を生きていないので、申し訳ないという気持ちもあるんです。リアルな時代を生きてきた方々は、もしかしたら私の発信していることを“違うよ”と思うかもしれません。

 でも、少しでも“懐かしい”と思ってもらったり、私の取り入れている新しい部分を面白いと感じてもらったりして、そういう部分も楽しんでみていただけるのが、ネオ昭和なんじゃないかなと思っています」

 ネオ昭和の発信を通して、学んだことがある。

「私の場合は“昭和”でしたが、好きなものを正直に好きと言うことって本当に大切なんだなと。隠すことをやめて、素直になったことで、自分の好きな“昭和”を仕事に出来ている。これからも、後悔がないようにチャレンジしていきたいと思っています」

 自分なりの新しさを更新し続けている、いつまでも“ネオ”な阪田を応援したい。