デビュー後、人気となったかしまし娘(左から照枝さん、歌江さん、花江さん)
デビュー後、人気となったかしまし娘(左から照枝さん、歌江さん、花江さん)
【写真】超貴重! ブレイク間もないかしまし娘の3人

1日に大阪と東京を飛行機で2往復

 旅回りの一座で生まれ、それぞれ幼いころから舞台に立ってきた三姉妹。生放送でも、ネタがなくても、音楽やかけあいのおしゃべりで、人を楽しませる力があった。

流行歌もすぐに取り入れて歌っていました。ずっと我流でやるのはどうかと思って、音楽教室にも通ってギターの稽古をしていたし。ウチはメロディー担当なんで、何回も聴けば、だいたい弾けたんです。ところが、2番目の姉はコード担当のギターなんですが、人にコードをつけてもらってもなかなか覚えへんの。

 私が“なんででけへんの?"と責めたら、涙ぽろぽろ流してたこともあります。いちばん上の姉は、1回聴いたら、すぐ三味線で弾ける。その点はすごいんですけど、間違ったとこを弾いても平気な顔しているんです。あまりに堂々としてるんで、こっちがつられて間違ってしまうぐらい。さすがに長女ですわ(笑)

 大阪の朝日放送と民放専属契約をし、安定した生活を送れるようになった。

嫌いやった漫才は、やっぱり好きにはなれなかったんですけどね。でも笑ってもらえると、こんなうれしいことはない。逆にウケないときは本当につらいんです。北海道苫小牧の劇場では、ちっともウケなくて。ギター抱えて途中で帰りたかったわ。

 関西のテレビにはけっこう出てたのに、全国放送じゃなかったんで、知られてなかったんでしょう。大阪弁も伝わりにくかった。それから全国区にならなあかんと思ったし、標準語に近い大阪弁で漫才やろうと気にかけるようになりました」

 売れっ子時代のスケジュールはすさまじかった。

1日に大阪と東京を2往復することもありました。当時はまだ新幹線が通ってなくて、移動はほとんど飛行機。飛行機が出なかったりすると大変でね。そんなときは待つしかないんで。マネージャーも一緒に麻雀してました。忙しくて、そんなときしか遊ばれへんから。折り畳みの麻雀台を持ち歩いて、空き時間に打ってたんです」

 麻雀は、姉妹の中で花江さんがいちばん強かったらしい。

負けず嫌いなんですよ。麻雀の打ち方よりも、点数計算を先に覚えました。ごまかされへんようにね。小さいころからひとりで巡業に行ってたから、自分でなんでもやることが身についてたんです