秋葉原発のレアモノ家電メーカーとして有名に
ヘッドホン型の小型扇風機や28度以下で凍るPCM素材を使ったネックリングなど、この数年でさまざまな首掛け式の冷感グッズを見かけるようになった。ただ、それらの商品は冷却効率や長時間の使用という面で難点もある。
「その点でも『ネッククーラーSlim』はスイッチを入れて2秒ほどですぐに冷たくなり、電源が続く限り長時間使い続けることも可能です。外気温マイナス17度という冷却性能の高さも他の商品にはまねできない人気の秘密だと考えています。また、こういった首掛け冷却グッズを街中でも違和感なく使用できる市場づくりという面でも『ネッククーラーSlim』は貢献できたと思いますね」
もともとは、パソコン周辺機器の輸入販売会社であったサンコー株式会社。「秋葉原発のレアモノ家電メーカー」と呼ばれるほどにその知名度を押し上げるきっかけとなったのが、ネッククーラーシリーズだ。同社は他にも、独自で開発しているペルチェ素子の技術を応用した暑さ対策商品を幅広く展開している。
「ネッククーラーと同様の冷却プレートとWファンの力で涼しい風をまとうことができる『圧倒的に冷える「冷蔵服2」』や、小型扇風機と冷却プレートを組み合わせた『当てて冷たい、浴びて涼しい!「ピタファン」』、冷却プレートで背中を冷やせるリュック『ペルチェで冷える「クーリュック」』など、持っている技術を水平展開しながら便利なアイテムをどんどん開発していくことも得意な会社ですね」
暑さ対策の商品には『そよかぜ快眠ふとんファン「ふぁん寝る」』もある。夏用掛け布団に通気口が設けられており、そこから風を送り込みつつ、こもった熱を外に逃すことで快適な状態に。
他にも、エアバッグでシャツのしわをのばす乾燥機『アイロンいら～ず3』や、最短14分でご飯が炊き上がる『おひとりさま用超高速弁当箱炊飯器』など、アイデア力を生かしたユニークな家電も続々と世に放ってきた。
「サンコーには、新商品のアイデアを書き込む『商品企画掲示板』というものが社内ネット上にあります。部署を問わず、全社員が週に1回以上アイデアを投稿していて、具体的な企画案だけでなく、解決したい日常の悩みといったレベルでの書き込みもOKです。そういったアイデアの芽を膨らませていって、独自商品の開発につなげています」
利便性だけではなく“面白くて役に立つ”というところを重視しているのも、サンコーのアイデア商品の特長だ。
「もちろん、アイデア自体は結構ありきたりのものも多いんです。でもそこに、人が使ってワクワクしたり、こんな解決方法があったのかと驚いてくれたりする“面白さ”をいかに見いだしていけるのか。そういった遊び心は大切にしています。
弊社があるのは、かつて日本有数の電気街として世界に名を轟かせた秋葉原。アニメ・ゲームの聖地となり、今は目新しいものや文化を生み出す発信地でもあります。そんな秋葉原発のメーカーとして、今後も目からウロコの新商品を次々に世界に発信していきたいですね」
サンコーの商品開発にかける思いは猛暑以上にアツい。
取材・文／吉信 武
