大手プロの新人発掘オーディションも減って

 芸能ジャーナリストの渡邉裕二さんは「実力派二世も“七光り”の恩恵を受けているはず」と話す。

「二世政治家の出馬と、二世芸能人のデビューは似ています。政治家は、後継ぎを秘書にして支援者や地元の人に挨拶をしますよね。そうして有権者に顔を覚えてもらってから、地盤を継がせます。芸能人の親も、子どもを現場に連れて行ったときは、監督やプロデューサーに挨拶をさせるでしょう。もし、その子が役者を目指していると言えば、プロデューサーは親に忖度して『今度のドラマに出てみますか?』と提案する。そうやって役を獲得した二世俳優も少なくないでしょうね」

 二世が主役として華々しくデビューする例は減っているが、親への忖度が、芸能界入りのきっかけにもなるのだ。

この流れは、作品を制作する側にとってもメリットがあります。最近は、大手プロダクションが行う新人発掘オーディションも減っているし、朝ドラヒロインも、すでに活躍している芸能人の中から選ばれるケースが増えています。昔に比べて“無名新人の登竜門”が少なくなっているので、身元がわかる芸能人の子どもたちなら、安心してオファーできるという裏事情もありますね」(渡邉さん)

 親のコネが通用するのは、芸能人も一般人も同じようだ。しかし、ハリウッド俳優の渡辺謙の娘で俳優の杏は親の力を一切借りずに芸能界入りしたという。

「杏さんは、15歳のときにモデルデビューしたのですが、当時所属していた事務所には、父親が渡辺謙である事実を完全に隠して入所したそうです」(渡邉さん)

 しかし、借金問題を抱えていた杏の母親が、事務所にまでお金を借りに来たことで父親が判明したという。家庭事情の複雑さから、一時は不仲説も流れていた渡辺謙と杏。しかし昨年、杏のYouTubeチャンネルに渡辺謙が登場して話題になった。親子共演がスクリーンで拝める日も近い?