タカラジェンヌたちは“飲みニケーション”で交流を深めていたという。

「お酒の席では、普段は怒鳴ってばかりの先輩も優しくなったり、逆に後輩が先輩に泣きながら反論したり。本音をぶつけ合って、口論を始める人も。つまり、以前は立場を問わず意見を言い合える環境があったんです」

 そんな貴重な機会もコロナによって奪われてしまった。

現役生徒から聞きましたが、コロナ禍で打ち上げが禁止になり、規制緩和後の現在でも、組ごとで数人までなら外食可といった制限が設けられています。こういった制度が組員同士のコミュニケーション不足につながったのだと思います。息抜きと交流の場がない以上、劇団内が殺伐とするのも当然だと思っています」

素人プロデューサー

 OGとして、一連の騒動の責任は運営側にあると語る。

「そもそも私が在籍していた時代から、先輩が長時間労働の改善をプロデューサーや役員に訴えていたのですが、スルーされていました。稽古以外の雑務も、スタッフをきちんと補強すれば解決したはずです」

 環境改善に消極的な一方、交流の場を制限するなど団員をなおざりにし続けていた運営サイド。このような方針を執るのは、劇団の構造自体に問題があるのかもしれない。

宝塚では、組ごとにプロデューサーが就き、配役や活動方針を決めるのですが、ほとんど“素人”なんです。というのも、この役職は親会社である阪急の社員が派遣されるので舞台のことを理解している人は少ないんです。

 会社員が劇団の方針を決めるシステムですから、団員に寄り添う姿勢は希薄。14日の会見も世間のコンプライアンスにとりあえず合わせたような姿勢でしたし、このままでは宝塚の伝統すら守れないと思います」

 OGの怒りは宝塚運営サイドに届くだろうか─。