「なにを言えばいいんだよ!」中年世代の本音

 では実際におじさん世代とZ世代の若者の話を聞いてみよう。

 まず45歳男性の経営者に「マジで」「めちゃくちゃ」への印象について伺った。

「どちらも普通に使っちゃう言葉なんで、古い言葉だと言われてもいまいちピンと来ないですね。私が20代のころは、『マジで』『めちゃくちゃ』が若者言葉で、同世代の友人はみんな使用していましたし、当時の感覚のまま今も使っちゃっています」(45歳男性

 自分自身が若者のころに使っていた言葉が自然と口に出てしまう。これがずっと続いているというのが、正直なところで当人たちも特に意識していないのだろう。

「むしろあえて『マジで』『めちゃくちゃ』を使っている節はあります。たとえば、『めちゃくちゃ』と似た言葉で『めっちゃ』というのがありますが、こちらは子どもっぽくて粗雑な印象があり、若者ぶっていると思われそうなので、『めちゃくちゃ』に切り替えたんです。でも『めちゃくちゃ』まで“おじさん”くさいってなると、『なにを使えばいいんだよ!』って感じちゃいます(笑)」(45歳男性

「別に今も使うけど……」20代女性の本音

 次に流行りに敏感そうな25、26歳の会社員女性の話も聞いていこう。

「今でも普通に使う言葉ですし、特に古臭さは感じないですね。ただ言葉のニュアンスは、徐々に変わってきた印象はあります。『マジで』は『マジか』、『めちゃくちゃ』は『めちゃ』といった具合に。

 あと最近は『ガチで』『エグい』『やばい』といった言葉のほうを聞く機会が増えた気もしました。ほかにも、『鬼かわいい』『じみに痛い』『超あり得る』みたいなよく考えてみるとおかしい言葉も多用しているかも」(26歳女性)

「『マジで』も『めちゃくちゃ』も話し言葉としては現役だと思いますが、書き言葉としての頻度は減ったな、と。特に『めちゃくちゃ』は、文字で打ちづらいし、一文が結構長くなってしまうので、あんまり使おうとは思えないです。でも検索エンジンでは『マジでおすすめの商品○選』というページもあるように、必ずしも使われなくなったワケではなさそうですが」(25歳女性)

 おじさん世代と20代女性、どちらも「マジで」「めちゃくちゃ」は、まだまだ現役の言葉だと認識している。40~50代の人間が20代中盤の若者に使う分には、おじさん判定されることは、今のところ大丈夫なのかもしれない。

 しかし、言葉のニュアンスは変化し続けているためか、些細な認識の違いによって古くさく思われてしまう可能性も0ではない。話し言葉だろうが、書き言葉だろうがそのまま使っても特に問題はなさそうだが、どちらにせよ最先端の若者言葉とは限らない、ということだけは胸に留めておいたほうが賢明かもしれない。

(取材・文=A4studio/文月)