お笑い界の勢力図が変わる可能性も……

 小さい事務所は、所属する芸人が少ないぶんしのぎを削る必要性も少なくなる。焦る必要がなくなりダラダラと続けてしまうというマイナス面はあるが、実力を蓄え、己の武器を磨く時間が増えるというプラスの面もある。

 こうして、芸人の才能を開花させ、大手事務所に肩を並べるほどの躍進を遂げている小さな事務所。次に活躍の期待される“ツギクル事務所”の候補としてあげられるのが、『ASH&Dコーポレーション』だ。

「ASH&Dはもともとシティボーイズの個人事務所。シティボーイズといえば、コント界のレジェンドというべき存在です。それだけに所属芸人には、阿佐ヶ谷姉妹やギース、ラブレターズと優秀なコント師が揃います。所属は少ないながら粒ぞろいといった印象を受けます」

 ほかにも、面白い存在となりそうなのが『トゥインクル・コーポレーション』と、『K-PRO』

「『R-1グランプリ2024』王者となった街裏ピンクが所属するのがトゥインクル・コーポレーションです。かつてはコントの雄、ラーメンズを輩出したことでも知られます。『水曜日のダウンタウン』(TBS系)のスベリ-1GPで圧倒的な存在感を示したエンジンコータローも所属。そのほか、ラジオ番組が好評のエレキコミックなど、バラエティーに富んだ布陣です。

 K-PROのなかでもっとも活躍しているのは、代表の児島気奈さんでしょう。ラジオパーソナリティなどもこなしています。お笑い好きが高じてライブを主催するようになっただけに、見てきた芸人は相当な数であり目利きは確かなはず。代表が売れっ子になり、事務所が注目されたところから芸人の人気に火がつくという稀有なケースもあるかもしれません」

 一強時代を築いた吉本興業が、現在は不安定な状態にあるだけに、そのほかの事務所が活気づいてきている。これは、お笑い界の勢力図にも変化がありそうだ!

取材・文/塚田牧夫