ドラマ『積木くずし』で15歳にして主演、不良少女を演じた高部知子は、現在、厚生労働省認定の国家資格・精神保健福祉士として活動している。昨年には自身が代表を務める『悠學塾』を発足させ、また薬物などの依存症克服の手助けをする『ワンネスグループ』のスタッフも兼任している。いわば薬物治療の専門家だ。

「シンナーはダウナーといって、麻酔と同じことで目がトロンとしてしまって半分しか開かなくなり、外見はグダグダになっている状態。だからあのときの演技は大麻というか、幻覚症状っぽいんですね。自分でしておきながら30年たって、あの演技はまずかったなって(苦笑い)」

 薬物だけに限らず認知症、発達障害や精神障害などの問題を抱えた当事者、そして家族の心のケアを行っている高部。先日、覚せい剤所持・使用で逮捕された、現在は入院しているというASKAについても言及。

「医療機関というのは症状を和らげるために、眠れないなら睡眠薬、抑うつ状態になれば向精神薬を出すなど、禁断症状が強く出るのを和らげることしかできません。1度は禁断症状が治まったとしても、薬物依存というのは心の問題なんですよ」

 一般的に再犯率は8割以上とも言われている。高部さんならば更生させられる?

「ASKAさんを誰も知らない海外などに、『ワンネスグループ』ではフィリピンにも施設があるんですけども、そういうところなら可能かもしれません。国内で周りの人たちと同じように、みんなに知られている中で復帰プログラムをやってくださいとなると、自分が芸能人として特別であったことに価値があったのに、それが一般人と同じ扱いになることに抵抗が出てしまう。まずそこが大きなストレスになり、ストレスが強まればまた依存してしまう。だから一般的な療法では逆効果になってしまうんですね」