20150217 showa wide  (7)

ノーアポで芸能人に直撃取材するのが当たり前だった

「番組の冒頭からいきなり〝バカヤローてめえ、ぶっ殺すぞ!〟って、男が恫喝している映像が流れてるんですから、みんなテレビに目がいっちゃいますよ」

 ’80 年代というワイドショーが華やかなりしころの、『アフタヌーンショー』(NET、現テレビ朝日系)チーフディレクターで、現在はテレビメディア評論で活躍している原地隆さんは当時を振り返る。

「当時のテレビはまだ白黒で、各局ともずば抜けて面白い番組とか、看板番組というのはなかったから、それまで見たこともないスタイルの番組はすぐに話題になりました」

 まだVTRの技術も低く、スタジオでのトークと新聞記事をなぞる程度であったが、やがて事件や芸能ニュースをレポーターが取材し、その内容をスタジオでドラマチックに披露する形式が確立して、現場の臨場感がダイレクトに伝わる内容になっていった。

「それまではレポーターが芸能人を直撃するなんてことはなかった。何か聞きたいことがあるときは、プロダクションに連絡して本人に時間を作ってもらい、用意した部屋でカメラもちゃんとセッティングして、アナウンサーが“どうなんでしょうか?”と聞いたりしてたんですよ」

 事前にアポイントをとらず予期せぬ直撃を受けた芸能人は、準備ができていないため、ついつい本音が出てしまう。視聴者は芸能人の意外な素顔や側面を見ることのできるワイドショーの虜になった。

「芸能人も一般人と同じで、結婚もあれば離婚もある。つまり、プライバシーはある。しかし、その間口は一般人と比べてはるかに狭く、制限されると僕は思うんです。直撃されるほうは不愉快だろうが、結婚会見をやった以上は、離婚会見もやって真相を話すべき。それをしないから直撃するんで、悪いとは思わない」