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 月9ドラマ『5→9』でもお坊さんが主役。カフェやバーなど、現在のお坊さんブーム(?)に、ひと役買っているのが、24歳で突然お坊さんになった白川密成さんのエッセー。

 “お坊さんあるある”や人生のヒントになるような話が映画『ボクは坊さん。』で映像化。その主演を務めた伊藤淳史が感じたこととは?

「宿泊していたホテルの部屋で毎晩、大声でお経を唱えていました。劇中に出てくる婚礼の儀っていうのは所作が多くて大変。歌みたいに独特なんですね。両隣の部屋の人にはそうとう引かれていたと思います(笑い)」

 役作りのために、そうやって人知れず“修行”をしていたというのが、映画『ボクは坊さん。』で、お坊さん役に初挑戦した伊藤淳史。

 この映画は、祖父の死をきっかけに、勤めていた地元の書店を辞め、24歳で突然お坊さんになった現役住職・白川密成さんがモデル。主演とモデルの2人に撮影当時を振り返ってもらった。

密成さん「すごく難しいのに、よくできるなって思いました。僕らも苦労しましたからね。でも、隣の部屋の人は、怖かったと思いますよ。僕でも怖いと思う(笑い)」

伊藤「お風呂でも練習していたんです。エコーがすごすぎて、迷惑かなと思いましたが、それどころじゃなかった(笑い)。唯一の救いは、宿泊したホテルに実際のお遍路さんが泊まっていたこと。朝とかロビーにお遍路さんがたくさんいたので、お経をあげても大丈夫なのかなって気はしました」

 舞台となった愛媛県今治市にある栄福寺は、実際に密成さんが住職を務めるお寺。

密成さん「約1200年の歴史があって、年間6万人くらいの方がいらっしゃいます。ガイドブックにも“おばあちゃんの家に帰ってきたような寺”と書かれる田舎の普通のお寺です。栄福寺で僕が経験したことを、実際に栄福寺を使って映画にするって、コストに換算できない豪華さがあったんじゃないかなって思います」

 劇中では、豊かな自然や、どこか懐かしさを感じる描写が多く登場している。

密成さん「『まんが日本昔ばなし』みたいな風景だけど、映画を見た人が“今度ここに行ってみたい”や“こんな場所があったんだ”など、心のどこかに残してもらえたら、それだけでいい作品だなと感じます」

伊藤「観光地みたいな大きなお寺ではなく、本当に普通のお寺なんですよ。密成さんの役をリアルな場所でお芝居できるって、作品を作るうえでこれ以上ありがたいことはなかったですね。いちばん大切なところに気遣いがいらないとか、ここで偽りなく生きてきたっていう空気や匂いを感じられて、撮影は充実していました。密成さんが実際に働いていた書店でも撮影をさせていただいたりもして」

密成さん「僕はリアルすぎて引きましたね(笑い)。“ここまでリアルか!”って」

伊藤「実際ここで働いていたのかって思うと、自然にスッと役に入れて、すごく楽しかったです」

 ただ、3週間という短期の撮影で、こんな経験も。

伊藤「みんなでご飯に行く時間もなかったです。メークなどで、朝早くから準備がありました。でも、お坊さんもすごく早起きですよね」

密成さん「朝5時くらいに起きて、早いと夜9時に寝たりしますね。俳優さんはいつ寝ているんだろうって思っていましたけど、体力がいりますよね」

伊藤「今回の撮影は、準備もあったので、ほぼ朝4時起きで早いと朝3時半起き。夜中12時にベッドに入って、僕も実際に、お坊さんのような生活を……。夜9時には寝られなかったですけど(笑い)」