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 4年ぶりに再演されるミュージカル『ジキル&ハイド』で主演する石丸幹二。

「自分にとってのルーツは音楽。だから俳優としての原点も、音楽を使って表現することだったんです」

 大河ドラマや『半沢直樹』など、映像作品での活躍に目がいきがちだが、もとは劇団四季で活躍してきた生粋の舞台俳優だ。

「映像はベストテークのパーツを、編集でつないで完成しますよね。だから、初めから終わりまで“客席と同じ時間”を共有している舞台に比べて、映像は自分が作った作品という意識が薄いんです」

 とはいえ『半沢直樹』で演じた浅野支店長が大評判で、ガ然、注目を集めたのも事実。あのキャラクターについて本人はこう語る。

「あの役を演じたときは、あそこまでイヤな人間を演じたつもりはなかったんですけどね(笑い)。あれは面白い体験でした。映像になるとこんなになるのか、って」

 今回の舞台では石丸の真骨頂ともいうべき、歌がメーンのミュージカル。そこにかける意気込みも十分なようだ。

「ハイドに移行する前に歌う『時が来た』は歌いがいのある曲ですね。作品の勝負曲でもありますし。僕自身の体調にも左右される曲で、ベストコンディションでなければ、非常に苦しい歌にもなるんですが……」

 ジキル博士は、薬を飲むことで隠されたもうひとりの自分“ハイド”が引き出されるけど、自身のハイド的な性格はどんなところ?

「ハイドは罪を犯しますが、存在自体は人間のある一面だ、と僕は思い始めているんです。社会のルールなどに縛られていない状態がハイドじゃないかと。自分も知らなかった、すべてをさらけ出して、めちゃくちゃハッピーな気分。

 そういう意味で、僕は自分がお酒を飲んでいるときがハイドだと思っています。みなさんも自分のハイド探しをしてほしいですね(笑い)」

 石丸の“結婚観”とは?

「僕らが20代のときって、同世代の歌手や俳優がどんどん結婚しましたが、この年になってくると、結婚という形をとらなくても人生が楽しいんですよ。

 世の中的には無責任なのかもしれませんが、その無責任を貫く自由があってもいいかなと(笑い)。自分が楽しく、相手も楽しければいいのかなって、そんな考え方に変わってきましたね」


舞台『ジキル&ハイド』

 19世紀のロンドンで、人間の善悪を分離する薬の研究をしている医師・ジキル博士(石丸幹二)。人体実験の許可が下りず、研究の中止を余儀なくされたとき、自らの身体で薬を試す決断をする。やがて、実験に反対した人間たちが次々と惨殺される事件が起きる。

 3月5日~20日 東京国際フォーラム ホールCにて上演。詳細はホリプロチケットセンター03(3490)4949、東宝テレザーブ03(3201)7777

撮影/佐藤靖彦