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 2月26日に発売された『嵐、青春プレーバック』(主婦と生活社)。国民的アイドルとなった5人の、知られざる青春の日々が綴られている。

 同書では、著者『元「嵐」側近スタッフ一同』が記した、5人それぞれのメンバーに宛てた手紙を公開しているがページの都合上、全文掲載はできなかった。そこで今回、特別に櫻井翔にあてた手紙の原本を公開する。


櫻井翔様へ

 ご無沙汰しております。その後の大活躍、心よりお喜び申し上げます。嵐というグループの特性、ノーブルで品のある雰囲気の根幹にあるのは間違いなく櫻井君の存在です。

 それが今、理想の形で才能豊かに花開いている嵐の状況、そしてご本人のお立場はとても有意義で充実したものなのだろうとお察しします。

 思えばあの頃、ときおり口にしていた将来への不安は、さすがにもう今は払拭されているのではと思います。学校生活での自分とアイドルである自分の狭間でいつも悩みながら、それでも決めた道を進んで本当に良かったのではないでしょうか。

 もう10年以上前のことですが、初めての主演ドラマの撮影の途中から、顔付きが変わりましたね。とても良い作品だったのに、視聴率がご自身や周りの期待ほどではなかったと告げられた時、貴方のプライドはとても傷付いたのであろうと思うとやるせない気持ちで一杯になります。

 ただその後、仕事に取り組む時の気迫、鋭い発言内容など新しい雰囲気が出てきたことを振り返ると、恐らくあの時期から意識の全てが変わり始めたのでしょう。

 櫻井君のルーツを辿るとどうしてもそこに行き着き、過去からそして現在につながる本人のこの物語が壮大すぎて、もはや言葉にすら出来ません。

 この先、この世界で一番幅広く、懐深く、長く活動するのは間違いなく櫻井君だと思っています。ジャニーズ事務所の新しい存在や方向性を担うタレントになり、またそういう後輩を育てていってくれるのだろうと、大いなる期待をファンもスタッフも持っている筈です。

 否定寸前だったかもしれないこのアイドルという世界、芸能というお仕事について、新たな領域をどうか櫻井君自身の手で切り拓き、昔の自分までもが誇れるものにしていって下さることを望んでいます。ほんの少し時間を一緒に過ごせたことは大切な思い出、そしてとても刺激的な経験でした。

 これからも日本一賢く稀有な存在のタレントとして、もっともっと活躍して下さるのを心より願っています。学ラン姿のまま渋谷で撮ったプリクラの中の櫻井君は、笑顔が弾ける無邪気な少年でした。男同士で撮ったあの1枚、大切にとっておけば良かったと後悔しています。

 思うに、たくさんの後輩を可愛がるその包容力は、あの頃の自分をどこかに見ていることから来ているのでしょうか。 そうして世代を超えたつながりを大切にする櫻井君。これからまた見せてくれる新しい番組、新しい物語、新しい才能を心より楽しみにしています。