マハリシ南青山プライムクリニック院長。著書『幸せになるために、やってはいけないこと』(大和書房)など。写真/神林環
蓮村誠先生 マハリシ南青山プライムクリニック院長。著書『幸せになるために、やってはいけないこと』(大和書房)など。写真/神林環
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 アーユルヴェーダは病の治療だけでなく幸せになるために何をすべきかを教えるインドの伝統医療。

 マハリシ・アーユルヴェーダ認定医の蓮村誠先生によれば、

「心は自然に成熟へと向かう性質があり、この世を去る瞬間まで成長します。そして心にはサットヴァ(純粋性)、ラジャス(活動性)、タマス(不活発性)という3つの性質があり、サットヴァを増やすと心が成熟して、幸福感が増します。ですが、食べるものや人との付き合い方で、心のタマスが増えることも。すると心の成長は止まります」

 食べ物にも、心と同じような性質があるの?

「ひと晩寝かせたカレーには不活発性のタマスがたまっているので、食べてはいけません。インド人は作りたてのカレーしか食べません。なぜなら、作りたてにはサットヴァが多いから。火を通すなどの調理をして完成した料理は、できた瞬間がもっとも完璧な状態であり、とても純粋性が高いのです」(蓮村先生、以下同)

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 カレー以外の料理も同じ。作ってから時間がたったものには、タマスが増えているそうだ。

「時間がたつほど純粋性が失われてサットヴァが減り、そのぶんタマスが増えていく。タマスを多く含む料理を食べると、心にタマスが増えてしまいます」

 でも、ひと晩寝かせたカレーは味に深みが出て、おいしい気もするけど─。

「“おいしいと感じる人=心にタマスが多い人”と言えます。タマスはタマスを求めるのです。子どもの心にはタマスが多い。みなさん、子どものころはよく寝ていたと思いますが、それは不活発性であるタマスが多いからなのです。年齢とともにラジャスが増えて活発になり、さらに年を重ねるとサットヴァが増えて、心が穏やかになります」

 子どもが好きな食べ物には、タマスが多いという。

「例えば、駄菓子やファストフード。小中学生のころは、みなさんも好んでよく食べていたと思いますが、大人になると自然にあまり食べなくなってしまいますよね? それは、成長した心がおいしいと思わなくなるからです」

 心の寂しい老後を送らないためには、サットヴァが増える料理を食べることが大切なのだ。