■すべての病気がただちに治るわけではない

 どこへでも入り込める水素だけれど、研究が始められた当初は、ウイークポイントにもなりました。

「身体中のどこへでも行けてしまうので、悪玉活性酸素がたまっているところへ行き、除去してしまいます。ですから、自分が効果を望む場所へすぐに水素が到達できるとは限りません」

 例えば、肩こりを治したくて水素サプリメントを飲んだとしても、いちばん悪玉活性酸素がたまっているのが胃腸であれば、水素は肩ではなく胃腸の悪玉活性酸素と先に反応してしまうということ。そこで辻クリニックでは、患部近くに投与するために、水素点滴や水素注射、水素軟膏など、症状によって治療方法を使い分けています。また、体内では悪玉活性酸素にすぐ結びついてしまうため、何度も投与する必要があります。

「水素を飲めばすべての病気がただちに治る、というわけではありません。何十年もかけて高血圧になったり、脂肪が蓄積されているのですから、1度や2度で治るわけではありません。水素で悪玉活性酸素を取り除くことで、サビのない、身体本来の機能や抗酸化力が少しずつ戻ってきます。継続して治療を行うことで、治癒力が高まり、病気に対抗することができるようになるのです」