「脳は、樹木のように太い幹から枝分かれして情報伝達を行っています。幼少期から18歳までの成長期は、脳の重量が増えるとともに、情報伝達の枝を広い範囲に伸ばせる時期なのです」と話すのは、小児科医で脳画像診断医の加藤俊徳先生。

 “脳の枝分かれ”が、大人になって成功するかどうかの“人生の岐路”になる。しかも、「右脳と左脳の両方にバランスよく枝が分かれている脳は『社会脳』といわれ、将来、成功してビッグな人になる可能性が高い」(加藤先生、以下同)というのだ。

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【写真】夏休みは、リアル体験に没頭させるべき。「例えば、虫の面白ネタを頭に入れて、川遊び。これで社会脳が育ちますよ」(加藤先生)

◆へぇ~体験が社会脳を育てる

 なぜ社会脳は、成功を呼び込むのか?

「社会脳を持つ人には、局面打開力があります。アイデアが豊富に湧き、問題が起きたり壁にぶち当たったりしてもスムーズに解決でき、どんどん会社で出世してお金持ちになっていく(笑い)」

 そんな社会脳になるには、さまざまな“へぇ~体験”が必要不可欠だと強調する。へぇ~体験とは、新たな発見からワクワクした気持ちになること。勉強では得られない脳への刺激が強くてしなやかな脳力を養う。

「いっぽう、勉強で作られる脳を『個人脳』といいます。個人脳のままで成長すると、同じパターンでしか物事を考えられない、社会性もコミュニケーション能力も低い大人になってしまうのです」

 天才には個人脳を持つ人が多く、ある能力に関しては抜群に高いIQを示すが、

「ほかの面では人より劣るところがある、非常に偏った脳といえます。そのため、書類をまとめる能力が長けていても他人と交渉ができない、デスクワークの集中力は高いが電話応対がまったくダメ……。そんな大人になってしまう可能性があります」

◆脳をマンネリ化させない!

 では、何をすれば、子どもが社会脳になるのか。

「勉強とゲームをしないで、子どもが興味をもったことを、危険のない範囲で体験させてあげることです」

 ゲームやネットでのバーチャル体験ではなく、いかにリアルな体験をするかが大切だという。今回の特集で紹介する面白ネタは、社会脳を育てるのにうってつけだと加藤先生。

「脳の中には、家の住所のような番地があります。同じことばかりしていると、同じ番地ばかり使ってしまい社会脳が育ちません。“へぇ~、そうなんだ”という発見が、脳の違う番地を使うことにつながります」

 さらに発見から興味を引き出して、ワクワクするアクションを起こして脳を動かす。

「社会脳は、簡単に言うと(1)準備、(2)アクション、(3)アウトプットの3つのステップで育っていきます」

 例えば、花火の面白ネタを知る=準備、実際に花火を見る=アクション、体験したことを書く=アウトプット、のような流れになる。

「この体験する前と後の子どもの脳画像を見比べたことがあります。すると、明らかに体験後の脳には、それまでにはなかったところに枝ができていました」

 というわけで、次回は夏休みらしい面白ネタを集めた【夏のうんちく篇】です。お楽しみに!