生活に支障がない程度の尿もれで病院に行くのはためらいがちですが、放っておくと進行しないとも限りません。

「昼間2時間以内にトイレに行きたくなる、週2~3回失禁する、夜中に2回以上トイレに起きるなどの症状があれば、泌尿器科やウロギネ科といった、専門的に診療してくれる医療機関の受診をおすすめします」(野村先生)

 過活動ぼうこう、切迫性尿失禁、前立腺肥大症による尿もれに対しては、内服薬での治療が中心。薬が効かない場合は、美容領域のシワ対策で使われるボトックスを、ぼうこうに直接注射する方法もあります。欧米ではよく行われていますが、日本では保険適用外で自費治療になります。ボトックスの効果は8~10か月ほどなので、繰り返し治療が必要です。

 多くの女性を悩ませる、骨盤底筋のゆるみ・不安定化が原因の尿もれは、適切なトレーニングを行うことで症状を改善させることが可能です。くしゃみをするともれる、トイレが近くて困る、ときどき膣にピンポン玉のようなものが触れる……という人は、まずは骨盤底筋トレーニングから試してみましょう。

※参考:亀田京橋クリニックでは専門の理学療法士による指導を行っています。女性のための骨盤底リハビリ外来(第1・3・5土曜日、1回30分、料金3240円。医師の診察が必要)では、骨盤底筋トレーニングをより手軽にした「ナック」という方法の指導も。

 早く確実に治療して、積極的に外出したりおしゃれを楽しみたい女性は、手術を選択するケースも多いといいます。尿もれの手術はポリプロピレン製のテープでゆるんだ尿道を支えます。通常6か月くらい経過を見て、必要な場合に行います。骨盤臓器脱を併発している場合は、ポリプロピレンメッシュを用いて治療します。手術時間が短く、身体への負担が少ないうえ、メッシュは半永久的に骨盤内の臓器をサポートします。

■次は「自分で予防できるケア」