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 今年4月、“電力小売りの全面自由化”の時代が幕を開ける。安全性・安定性が担保されたうえで、自由化による競争原理が働く。その結果、料金が大幅に違ってくるのであれば、比較もしやすいものだが、消費生活アドバイザーでファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんはこう指摘。

「純粋な電気料金自体の割引率は、大半が数%です。もちろん数%でも安くなるにこしたことはありませんが、大幅な節約にはならない。各社がプランを発表していますが、結局はケータイ料金やプロバイダー料金の割引や各種ポイント付与などを抱き合わせ、トータルで得になると謳っているものがほとんどです」

 4月以降の消費者の動向は、「大半が様子見」と推測。

「口コミなどで評価がよかったところに申し込む家庭が、徐々に増えていくのではないでしょうか。電力は家庭ごとに使う量も使い方も全然違います。乗り換えた際の特典も人によって恩恵の幅が大きく異なってきます。ですから“この会社のプランが一番いい”と一概に言い切ることはできません。生活スタイルや家計の見直しをしたうえで最適なプランを選びましょう」(丸山さん)

 経済アナリストの森永卓郎さんは、手続きに煩わしさがない点を評価する。

「イメージとしてはケータイを乗り換えるような感じで、簡単に移行できます。新電力に乗り換える際に配線の工事などはいらず、スマートメーターという新しい電力計が必要なくらいです」

 乗り換えは「数年間は様子見」と冷静だ。原発の今後のあり方も、森永さんが注視するポイント。

「再稼働したら、東電など大手電力会社の電気代がグンと下がる可能性があります。原発のほとんどが設備費用で、発電を再開しても追加費用があまり必要ないためです。原発を止めてから料金は3割ほど高くなっていますが、再稼働すれば高騰分が一気に元に戻る可能性も。乗り換える際は原発と大手会社の動きを気にしたほうがいいでしょう。

 原発の電気を使いたくない人は、原発以外のエネルギーで発電をしている新電力のプランを選べばいいと思います。少し安いからと今すぐ飛びつくのは危険ということです」