【好評連載・フィフィ姐さんの言いたい放題】女性お笑い芸人の、アジアン・隅田美保。ここ数ヶ月、突如テレビから姿を消したため、コンビ不仲説や引退説も囁かれた。だが、その真意は、“ブサイクキャラ”としていじられることに嫌気がさしたことにあるという。隅田と同じく、ブサイクキャラとして活躍した経験をもつフィフィが、女芸人たちが受けるブサイクいじりの実際を語る。


はじめはブスと言われることに驚き、戸惑った

 私ね、昔“モテない女性芸能人”グランプリで1番をとったことがあるの。どの番組だったか忘れちゃったけど。そういう経験があるものだから、今回の件も他人事とは思えなくて。

 芸能界に入ってすぐ、“ブサイクキャラ”としていじられていた私だけど、はじめはやっぱり戸惑ったよ。

 というのも、私は29歳のとき、結婚して子どももいる状況で芸能界に入ったわけ。もちろん、自分には欠点があるとはわかっていたし、多少のコンプレックスはあった。だけど、普通に世の中で生活していたら、面と向かって“ブス”とは、なかなか言われないでしょ。私だって、それまでずっとOLやっていたけど、ブスなんて言われたことなかったよ。

 だから、そこまで自分をブスだとは思っていなかったところに、いきなりバラエティ番組で“ブサイク”“ブサイク”っていじられたものだから、ビックリしてどうしていいかわからなかったのよね。

 驚いたと同時に、旦那に申し訳ないと思った。嫁がブスと言われてるわけだからね。だけど番組後に意気消沈していたら、スタッフさんに“今日も良いよ~、おいしいよ~”って言われたのよ。そのときだよね、いじられるのっておいしいんだ! って知ったのは。

 いろんな番組に出ていても、大物司会者に“お前、ロバや~ん”とか言われると、それだけで笑いがとれて。ウケをとるためにネタを必死に考えている芸人さんに“お前は得やな~”とか言われたりするうちに、日本の笑いには、イジリ芸というものがあるんだなって思ったわけ。日本のバラエティの世界でやっていくからには、イジリ芸を受け入れていかなきゃならないんだな、と次第に慣れていって。

 だけど、そうは言ってもやっぱり旦那にそういう姿を見られるのは嫌だったし、何と言っても私には子どもがいた。その子どもが大きくなるにつれて、母親が“ブサイク”と言われているのをどう思うのか、子どもの人生に影響してしまったらどうしようって考えたとき、自分自身のなかで“ブサイクキャラ”を続けていくことにたいして、次第に抵抗が生まれてきたの。バラエティから、コメンテーターとか、文化人的なポジションへの転身をはかったのには、そんな理由もあるかな。

 私の場合は、子どもの成長が自身のキャラを転換する、ひとつのきっかけになったわけだけど、それぞれに方向転換せざるを得ない状況の変化はあるよね。

20150804 sumida asian yoko

 アジアンの隅田さんも含めて、女芸人さんは結婚する前から芸人さんであることが多いでしょ。そういう状況から、いざ、恋人や好きな人が出来たり、結婚したり、子どもが出来て大きくなってきたりと状況が変われば、心境だって変わるよ。今までは出来ていたことも、相手がどう思うかと考えると出来なくなる。芸を抑えてしまうことだってあるのは、やむを得ない。

“ブサイクキャラ”に徹しているだけで、実際にはそれほどブサイクではない?

 だけどね、“ブサイクキャラ”を売りにしている女芸人さんたちって、実物はそれほどブスじゃないから。実際、たまたまプライベートで隅田さんを発見したことがあるけど、そのとき私と一緒にいた男性は“けっこう綺麗じゃん”って言ってたよ。

 そもそも、ブスと言われて本当に傷ついてしまいそうなタイプの人たち、コンプレックスをもってる人たちには、間違ってもブスだなんて言わないよ。テレビに出ている人たちは、その辺のことはちゃんとわかっている。

 だから、“ブサイクキャラ”で通っている、オアシスの光浦さんや大久保さんだって、実物はとても綺麗だしオシャレ。いとうあさこさんなんてスタイルすごくいいよ。バラエティの世界でこそ、“ブサイクキャラ”としていじられるけど、世間一般にみれば、別にそこまで言われるほどブサイクではない。あくまでもキャラに徹しているだけで。

 本人たちがそこを自覚している場合は、笑いとばされた方が楽なんだけどね。

 むしろ辛いのは、番組で芸人さんが私の顔をいじってきたときに、私の立ち位置を知らない大御所の俳優さんとかが、“いや~そんなことないよ~”なんて庇ってくれちゃったとき。これは辛いよ、私のキャラが宙ぶらりんになってしまって。いやいや、大丈夫なので、こういうときは笑いとばしちゃってくださいって思ってしまう。こっちも仕事でやっているんだから。

 もちろん、見知らぬ人にプライベートの場でまで、テレビのノリでいじられたらウザいですよ。

恋愛において、実は有利なマイナスからのスタート

 私はいつも“マイナスからのスタート”という言葉を意識している。

 女芸人さんたちって、テレビで見ている分には、女子力(女性として付き合いたい・オンナとしての魅力)という部分の評価は、基本的にどうしてもマイナスになるよね。女優さんとか、モデルさんやアイドルとかと比べて。

 だけど、女芸人さんたちはマイナスからはじまっているから、テレビから抜け出して実際に会ってみると、その評価はあがるばっかだと思うんだよね。何と言ってもスタートがマイナスの印象なわけだから。

 マイナスな状態で実際にデートとかに行ったりすると、些細なことでも評価があがって恋愛は有利に進むよね。これはある意味、女優さんとかモデルさんとかにはない特権と言えるんじゃないかな。可愛い子は、期待される女子力が高くなるし、女としてのハードル上げられちゃうのよ。

 そのいい例として、オセロの松嶋さん、北陽の伊藤さん・虻川さん、山田花子さん、クワバタオハラの小原さん・くわばたさんとか、みんなイイ男と結婚してるでしょ。隅田さんだって、私、本人と共演したこともあるけど、チャーミングで、何より面白くて、素敵な印象を持ったよ。

 “マイナスからのスタート”を利用して、自信をもって女性として楽しんで。女芸人としても活躍して欲しいなと思うよ。

《構成・文/岸沙織》