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 フィギュアスケート界の貴公子・羽生結弦’15―’16 シーズンが、いよいよスタートする。“世界王者”奪還を狙う今季初戦は、10月13日からカナダ・バリーで行われる『オータム・クラシック国際』の予定。

 見どころは、ブライアン・オーサーコーチが目を細めて「106点が狙える」と話す、ショートプログラム(SP)だろう。

「世界選手権で準優勝だった羽生は、“もっとこのプログラムを洗練させたい”という思いから、昨季シーズンのショパン作曲『バラード1番』をそのまま使うそうです。ただし、演技の後半に4回転トゥーループを組み込むなど、構成は進化している。自身がソチ五輪のSPでマークした五輪歴代最高得点の101.45点を上回る可能性が十分あります」(スポーツライター)

 羽生はシーズンインを前にした8月6日(日本時間で7日)、本拠地のカナダ・トロントで報道陣を招いて懇親会を開き、今シーズンや’18年の韓国・平昌冬季五輪への熱き思い、将来像まで語った。

 8月8日付の日刊スポーツでは《平昌で終わり》という見出しが躍り、羽生ファンを驚かせたものだった。そこには、

《小さいときから平昌でと決めていた。ソチで取って、平昌で取って終わり。そこからプロをやろうと決めていた。まだベストなときにプロスケーターでありたいな》

 さらに、プロ転向後の青写真についても詳しく語った。

《コーチをしたいなという気持ちはなくなってきたのかな。枠組みにあまりとらわれたくない。できるなら、講師がいいな。別にスケート以外でいろんなことをしたい。メンタルな話だとか、練習環境なども勉強しているし、出来ると思います》

 この発言は日刊スポーツだけでなく、他のスポーツ紙や一般紙も同様に報じた。

 ところが、それから4日後、8月11日付の読売新聞が《羽生 平昌後去就は未定》と報じた。記事の中で、羽生はこう話していた。

《引退表明みたいに受け取られて、とてもびっくりした》

《小さい頃に描いた将来設計を語っただけで、言葉が足りなかった。平昌後にどうなるかは、まだ分からない》

《平昌後に納得できなかったら、納得するまでやるだろう。具体的に決断した話ではない》

 この読売新聞の報道を知らず、今もなお、羽生の去就を心配するファンも多いようだ。

 全国紙からスポーツ紙までが一斉に“平昌で引退”と報じ、わずか数日で、読売新聞だけが“去就は未定”と、まるで前言を撤回するような事態に、なぜなってしまったのか。

「まず、トロントでの懇親会には、一部の新聞社とテレビ局だけが出席していた。そのため、他紙は共同通信社の配信で一律な報道になった。ですから、最初の報道が誤報というよりは、羽生クンの本音だったと思います。ただ、フィギュア界は、ほかのスポーツと違って、プロよりも五輪出場レベルのアマチュアが実力上位なんです。それは羽生クンの“ベストなときにプロに”という言葉でもわかると思います。プロ転向表明は実質の引退であり、表明は曖昧になりやすいものです。そこには“経済”がからんでくる。いわゆる、スポンサー問題です。特に、連盟サイドは収益面で痛手になりますからね」(前出・スポーツライター)

 浅田真央の去就問題も、報道が二転三転した。

「真央ちゃんという“アイドル”が現れ、キム・ヨナというライバルが登場したことで、まれに見るフィギュアブームが巻き起こった。その結果、スケート連盟は数年間で10億円とも言われるほど潤ったのです。その真央ちゃんのときも、一部マスコミから“引退報道”が出るや、“(去就は)ハーフハーフ”という言葉で沈静化。そこにも連盟やスポンサー、所属事務所などの思惑が垣間見えたものです。今回も連盟側などが羽生サイドに対して、“そんな話、聞いてないよ”と、軌道修正を要望したのだろうと思いますよ」(フィギュア関係者)