当時16歳の娘に、30匹もの金魚の死骸を食べさせたとして、16日、母親と内縁の夫が逮捕された。また同日には、カップラーメンの麺が伸びていることに腹を立て、11歳の息子を殴ったとしてその父親が逮捕された。後を絶たない児童虐待であるが、今回の2件に共通する点として、虐待を加えた親たちが再犯であるという点にフィフィは注目する。

再び虐待する恐れがあるのに、なぜ子どもたちを親元へと返すのか?

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 16日に報じられた2件の児童虐待。これらに共通する点として、親たちが過去にも虐待の疑いで逮捕、ないしは子どもが保護されていたことがあるという点が挙げられます。本来なら、もう二度と起きてはならないことが起きてしまっているわけです。

 なぜ、再び虐待を行ってしまう恐れがあるのに、子どもたちを親元に返してしまうのでしょうか。

 そのひとつの要因として、子どもを親元に返すかどうかの判断を各自治体が下しているというのがあるんじゃないかと思います。

 日本はタテ割り意識が強いから、裁判所と警察が自分たちの仕事さえ終われば、児童相談所に引き継いでおしまいです。自治体と情報の共有が継続してできていないんですよね。構造として連携がとりにくい。そして、各自治体それぞれが、そのときの担当者によって「親元に戻す」という判断基準をころころと変えてしまうわけです。

 海外の場合は、司法や警察機関が直接的に児童を保護監督しているから、情報も管理しやすく、判断基準もより厳密ですし、法的な手段も容易に行使できるんですよね。

 さらに日本は、加害者側へのケア、たとえば加害者の更生プログラムが充実しているわけではありません。虐待を根本的に解決するためには、なぜ繰り返し我が子を叩いたり殴ったりしてしまうのか、加害者である親側とも向き合っていくべきです。

 強制的に更生プログラムを受けさせることによって、再び虐待を行うことがないよう親を更生させる必要があります。

 そうした取り組みもなく、子どもを親元に返してしまえば、再び虐待が繰り返されてしまうことは目に見えています。

なぜ子どもを返して欲しいというのか?

 そして虐待する親は、なぜ子どもを返して欲しいと言うのか。報道される親に“内縁の夫”や“同居する男”が多いのはなぜか。

 いずれもこれらは、お金に関わっているケースも少なくありません。おそらく彼らは、可愛い我が子を手放したくなくて返して欲しいと言っているのではありません。子ども手当などのお金が目当てである場合だってあるんじゃないでしょうか。結婚せずにあえて同居というスタイルで、保護されるシングルマザーを選択する女性もいるでしょう。

 子どもは利用されているだけで、本来使うべき子どもたちに、そのお金が行き渡っているとは思えません。

 選挙の前に、子ども手当などのばらまきを行うのではなく、現行の制度を大きく見直したり、虐待を受けた子どもたちを擁護する施設を整えたり、親の更生プログラム制度を作ったりと、税金は有意義に使って欲しい。

 子どもにはまだ選挙権がありませんから、子どもに向き合っても得をしないと政治家さんたちは思っているのかもしれませんが、子どもは国の宝です。

 また、日本人に多く見受けられる「子どもは親元で育つべき」という思想が、虐待される子どもたちの救出を妨げていることもあるわけです。「時として親から引き離す必要がある」、そんな厳しい判断を下せる社会が求められていることを忘れてはいけません。

《構成・文/岸沙織》