日本だけでなく世界をだました形になってしまったSTAP細胞騒動。昨年末、その渦中の人物である小保方晴子元ユニットリーダーは、責任を取る形で理化学研究所を退職したが、理化学研究所は今なお健在である。今後、このようなことが起こらないことを願うばかりだが、そもそも理研とはどのような組織なのだろうか? 正式名称は『独立行政法人理化学研究所』。

「前身は、1917年に財団法人として設立され、戦後一時株式会社組織になったが、1958年に特殊法人として生まれ変わり、現在へと続いています」(理研広報部)  

 形は時々に変われども、世界の研究者の間で“リケン”で名が通る、まさに科学技術大国・日本を代表する研究所だ。  

 2013年度の予算は約844億円。その9割以上が税金でまかなわれ、職員は公務員に準じる「みなし公務員」。設立当初、研究者間で研究費争奪の対立が起きた。それを解消するために1922年、ある制度が導入され今に至っているという。

「主任研究員制度です。研究室や研究グループ、ユニットは約360あるが、その研究テーマ、研究費の使い方などの裁量権を主任研究員に全権ゆだねるという制度で、たとえ所長でも口は出せない」(同所広報部)  

 莫大な研究費・人件費は、元ユニットリーダーの小保方さんの手元にも届いていた。小保方さんのチームには、「年間1000万円の研究費と、(技術員などを雇うための)1000万円の人件費」が支給され、その使い道は、すべて小保方さんに一任されていたという。小保方さん個人の給与額は明かされていない。

「研究ユニットリーダーは研究管理職に分類され、固定給が約682万円、約825万円、約1273万円の3段階に区分され、ここに住宅補助など諸々の手当がつく」(理研広報部)  

 そのうえ、うまくいけば発明者へのロイヤルティーの支払いも発生する。理研には、研究から産業化した“理研コンツェルン”と呼ばれる企業群─理研ビタミン、リコー、協和発酵などがあり、私たちの暮らしの周りのさまざまな商品を生み出している。

「ほかにも、特許を取り企業と協力し、商品化もしています。花王のアタックや明治のスポーツ飲料VAAM、ハウス食品の特選本香りシリーズなどです。介護用のロボットも開発しています。ロイヤルティーが入ってきて、2~3割を発明者に払う。VAAMの最盛期には、研究者に毎年400万円ほどの報奨金を渡していました」(理研広報部)