松岡修造
「何かと暗い話題の多い世の中ですが、昨今の松岡修造フィーバーには目を見張るものがありますね」

 こう話すのは、西武文理大学などで講師を務める社会学者・瀬沼文彰さん。コミュニケーション学が専門だ。

 昨年9月にPHP研究所から発売された日めくりカレンダー、『まいにち、修造! 心を元気にする本気の応援メッセージ』は、現在39万部を超える大ヒット。ページをめくると、暑苦しいほどのポジティブメッセージが盛りだくさんで、「自分を持ちたいなら、サバになれ!」「今日から君は噴水だ!」など、修造流の表現で読者の背中を押してくれる。

「修造さんが熱いキャラとして火がついたのは’08 年ごろ。一見、うっとうしいような彼のキャラクターを、ネタとして盛り上げる動きがネットを中心に起こり始めたんです」

 人気が出るいっぽう、’09年には『スポーツキャスター・解説者 こいつが出るとTVを消したくなるランキング』(週刊文春)で1位をとったことも。

「すごいと思うのはブレないこと。ポジティブキャラが定着していくにつれ、“嫌い”という部分が消え、支持層が増えていった。一流プレーヤーとしてのキャリアも、説得力を増す一因になっているのでは」

 ’14 年のCM起用社数ランキングは、嵐の櫻井翔と並ぶ11社で堂々の1位。確かに最近、テレビでよく見かけるかも……。瀬沼さんは、「時代を逆手に取って注目を集めている」という点も評価。

「今はどちらかというと、他人と距離を置く時代。ところが修造さんの場合は、その人にぴったり寄り添うようにして熱いメッセージを全力で発信し続けている。そうしたスタイルが受け入れられている」

 あの熱さは素なの? それとも、キャラ作り?

「確かに、そこは気になるところです。でも、正解がどっちだっていいと思える部分もあります。それを読み取る楽しさも、修造さんは与えてくれているのかもしれません(笑い)」

 そうして人気に火がついたカレンダー。一文一文が短いため、すぐに読めるという手軽さもウケる理由だ。なかには、「考えろ! 考えるな!」という、ちょっと意味不明なフレーズもあるが、それすら笑って許せてしまう。

「これほどまでの反響に、社内ではうれしい悲鳴があがっています。購入者の方の大半は、修造さんと同世代の男女のようですが、お孫さんへのプレゼントとして買われる年配の方も多いみたいですね。これからの季節、入学祝いや就職祝いにもピッタリです」(PHP研究所広報部・瀬間さん)