視聴率で苦戦している冬ドラマ。コラムニストの今井舞さんが「あまりのひどさに脳内がホワイトアウトしそうになった」と辛らつ批評するのが、堀北真希がセレブ病院の看護師となり、玉の輿を狙う『まっしろ』(TBS系)。

「以前、セレブ病院を取材したんですが、そういうところは入り口が人目につきにくく、患者のプライバシーを守ることに腐心しているんです。でも『まっしろ』はゴージャスな入り口でいかにもな門番がいる。こんなのありえないですよ。しかも堀北は表情が能面みたいに全然変わらないから、ラブコメに向かないなぁと。くるくる表情が変わらないとコメディーって捌けないから、演技の力量がバレるんですよ。そして、このドラマは私が以前から指摘している、会議で出た案をそのまんま全部やる“ホワイトボードドラマ”のさらに手抜き……いや、板書さえしてない印象です」

 能面演技といえば、柴咲コウが謎めいた妻役の『◯◯妻』(日本テレビ系)も。

「腹を決めて『家政婦のミタ』の二番煎じやっていますよ、って感じですね。脚本も『ミタ』の遊川和彦で、演出チームも同じですし。でもミタは現実味のない人間離れしたターミネーターみたいなキャラで、最後の最後にその謎が明らかになるという流れでしたけど、『◯◯妻』の柴咲は寝食を削って無理した人間離れなので、ところどころで感情を吐露しちゃうから、ミステリアスというよりも、ちょっとヒステリー体質の人にしか見えなくて……」

 劇中では柴咲コウ演じるひかりが何故、契約結婚にこだわるようになったのか。そのヒントのような演出が多数インサートされ、続きが気になるところだが……。

「もともとこの脚本家は人物像とかプロット、伏線を張りめぐらせるというよりも、何もないのにありそうに見せるという見世物小屋的なものが得意で、あざとさがあるんですよ。ただ今回は『ミタ』のときよりも目盛りが弱いから、人はあまり集まらないでしょうね。あ、次の遊川作品でも無表情役があるなら、堀北真希を推薦しておきます」