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北アフリカのチュニジアで18日に発生した無差別テロ事件は、あの過激派組織「イスラム国」の関与が取りざたされている。事件を受け、外務省はチュニス市に対する渡航警戒レベルを1段階引き上げたが、いまさら遅い! ほかにも「十分注意」とされる国・地域はたくさんある―。


 事件はチュニジアの首都チュニスで18日に発生した。自動小銃と手りゅう弾で武装したグループが、国会議事堂に隣接する国立バルドー博物館の見学客らを無差別に銃撃し、日本人女性3人をはじめとする外国人観光客20人が死亡。

 目撃者は「実行犯は動くものすべてを撃っていた」と証言しており、応戦した同国警察官を含めた計21人の死亡が確認された。事件前、日本の外務省はチュニス市の警戒レベルを「十分注意」にとどめていた。全5段階で下から2番目だから"命に注意しろ"とは受け止めにくい。

 この「十分注意」とは、具体的に何にどう注意すればいいのか、外務省に聞いた。

「十分に安全対策をとってくださいということです。仕事や旅行でその国に渡航するのであれば、普通の注意以上に、特別な注意が必要になるということ。どう注意すればいいのかと言われても、具体例を示すのは難しいです」(領事局邦人テロ対策室)

 外務省は海外安全ホームページで、世界各国・地域の危険度について「退避勧告」「渡航延期をすすめる」「渡航是非の検討を求める」「十分注意」という4段階の危険度と「特になし」を合わせた計5段階で評価している。

「在外公館から現地情報を吸い上げ、本省の情報と合わせて危険度を随時判断しています。他国と共有している情報もありますし、国によって第三国の評価が大きく変わるようなことはまずありません」

と前出の邦人テロ対策室。

 冒頭の地図を見てほしい。外務省のデータをもとに本誌が作成したもので、黒く塗りつぶされているのは外務省が退避勧告を出しているエリアだ。最近、テレビ番組などで世界の辺境に住む日本人が取り上げられることが増えているが中東・アフリカは一部を除いてほとんど色つき。

 つまり渡航にあたって特別な注意が必要なのだ。タレントが現地住民と打ち解けて笑っていたとしても、その国が安全というわけではない。

 海外の治安情勢に詳しい軍事評論家・熊谷直氏は「危ない国は世界中にある」と話す。

「例えばアジアでは、中国や北朝鮮、パキスタン、インドなどは要注意。インド中央部ではイスラム教対ヒンドゥー教の対立が起きている。旅行前にその国の宗教的・歴史的背景ぐらいは把握しておいたほうがいい」(熊谷氏)

 海外安全ホームページで「十分に注意」以上のジャッジをされているのは、アジアではほかにバングラデシュ、ミャンマー、カンボジア、スリランカ、フィリピンの一部など。ほかの地域では、ロシアやウクライナ、フィジー、ベネズエラ、メキシコやペルーの一部が指定されている。

 各国ごとに警戒の根拠を示しており、例えばフィリピンではイスラム系反政府勢力による無差別爆弾テロや身代金目的の誘拐テロがあることを明記。マニラ首都圏では短期滞在の個人旅行者を狙った強盗、恐喝事件が多発し、日本人が巻き込まれた事件もあると紹介している。

「テロに巻き込まれないためには、外国人が多く集まる観光スポットや市場・繁華街にはできる限り近づかないほうがいい。外務省のホームページの危険情報をよく読んでほしい。旅行日程や滞在先などを外務省の『たびレジ』に個人登録すると、最新の渡航情報などを受け取ることができるようになります」と前出の邦人テロ対策室。テロはもはや身近な恐怖になりつつある。