お国柄を武器に、子どもたちの学力・体力をグングン伸ばしているのが福井県。県民性に詳しい、ナンバーワン戦略研究所の矢野新一さんによれば、

「男女とも“負けず嫌い”気質の福井県は、教師も親も子どもの勝負事に熱心で、底力を発揮します」

 文部科学省が行う『全国学力テスト』では、毎年、秋田県とのトップ争いを続け、’14年『全国体力テスト』では小5男女、中2男女で4冠。社長輩出率も30年連続全国1位だが、

「東大合格者数のランキングでは目立ちません。地頭のよさを競うテストをしたら、ちょっと違う結果が出るかもしれませんね」(矢野さん、以下同)

 大学受験が振るわずとも、なにくそ! と立ち上がるハングリー精神こそ、将来的な勝ち組に育てる秘訣?

 風土や土地柄が、子育てを大きく左右することも。

「東京郊外、埼玉県、神奈川県は競争心が強く、教育熱心な母親がそろっています。いわゆるベッドタウン地域には、同年代の親が多いからです。周囲に刺激を受けず、のんびりわが子を育てたいなら、千葉県や和歌山県など気候が穏やかなところがいいでしょうね」

 地域に根づく文化もまた子育てには大事な要素。かわいいわが子も反抗期には憎まれ口をたたき、恩も忘れて親に攻撃を仕掛けてくる。つい、音を上げたくなる母にとって心強い県は?

「祖父母が子育てに協力してくれる山形県と福井県。両県には地域で子どもを見守る文化が根づいています。逆に子育ての姿勢には厳しい目を光らせる大人が多いとも言えるので、サボりぎみの母親は怒られてしまうこともありますが……」

『全国学力テスト』で上位の秋田県、福井県、富山県に共通するのが、三世代同居率が高いという点。

「共働きが多い県も、1位は福井県で、山形県、富山県と続いています」

 子育て支援もそこそこに輝く女性が求められる時代。親に負担が偏らず、ストレスフリーな状態で、教育費もしっかり稼げる。それが“ベストオブ子育て”の県にふさわしい条件かも。

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【お話を伺った人】

矢野新一さん・・・(株)ナンバーワン戦略研究所所長。県民性研究の第一人者で本を多数執筆している。スマホアプリ『ズバッと! 県民性』の監修も務めている。