大阪・寝屋川で起きた中学生惨殺事件。平田奈津美さん(13)の死体遺棄容疑で8月21日に逮捕された契約作業員・山田浩二容疑者(45)。さらには平田さんと行動をともにしていた星野凌斗くん(12)も遺体で見つかり、残酷な結末を迎えた。

 山田容疑者は、平田さんに「声をかけた」ことは認めている。平田さんと星野くんは12日夜から外出。深夜から早朝にかけ、駅前の商店街にいたことが防犯カメラで確認された。ほぼ同時刻、山田容疑者が運転していると思われる車も映っていた。駅周辺で声をかけられ、車に乗ったのではないかとみられている。

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平田さんと星野くんが休憩に使った商店街のベンチ。やがて夜は明けて……

 数か月前まで小学生だった中1男女が深夜徘徊し、夜を明かしたことに驚いた人も多いだろう。平田さんはよく「野宿」と称して簡易テントを張り、その中で友人と過ごしていたとも言われる。

 家に居場所がない子どもたちの実態はどうなっているのか。10〜20代女性の支援活動をしているNPO法人「bond project」の代表・橘ジュンさんは、東京・渋谷や新宿などの繁華街で夜回りをする。話が聞けた場合、つながりを持つようにしている。どんな人たちに話しかけるのか。

「ひと晩に6~8人、行くあてがなさそうだなと感じた子たちに声をかける。目的がなさそうな子は周囲と溶け込んでいないので、なんとなくわかる。テンポが合っていない。ときおり、目が合うこともあるし、相手から声をかけられることもある」

 同法人では最近、親から虐待された15歳の少女Aさんから連絡を受けて保護した。

 なぜ、夜遅くまで子どもたちは街にいるのだろうか。新宿・歌舞伎町で14歳の少女Bさんと出会った。Bさんは親とうまくいっていない。

「叩かれたりするが、虐待とまではいかないと思う。ただ親は怒ってばかり。わかっていることを何度も怒られるから、イライラするし家は落ち着かない」

 Bさんは数週間、帰宅しないこともあったが、親からは携帯電話で連絡があるだけ。「友人の家に泊まっている」と伝えれば詮索されないという。

「家出する子には家にいたくない理由がある。街中に限らず、公園や友達の家で過ごすこともある。家に居場所がないんです。親が子どもの話を聞かず無関心だったり、虐待されている場合もある。Aさんのように家出ができてよかった、と逆に思うこともある。保護して話を聞きます」(橘さん)

 こうした子どもたちの親は深夜徘徊していることについてどういう態度をとるのか。

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平田さんと星野くんが防犯カメラに記録されていた寝屋川市駅前商店街

 Bさんの場合、親は携帯電話で生存確認する以上のことはしないという。家に帰らないことが続くほかの子どもたちに聞いても、無料通信アプリLINEやメールなどで居場所を教えれば、それ以上、干渉されない。「LINEやSNSでつぶやいていれば心配しない」(Bさん)という。

「"親は、私に興味がないので(深夜徘徊などを)知らない"と言った子がいました。親が寝ている間に家を出て、起きる前に帰宅する場合もある」(橘さん)

 一方、子どもたちが深夜に立ち寄れる場所は多くない。例えば大阪府の条例では、16歳未満の場合、午後8時から翌午前4時まで、保護者は外出させない義務がある。午後7時から翌午前5時までは、カラオケボックスや漫画喫茶、ネットカフェ、ゲームセンターに入れない。他の都道府県でも類似する条例がある。

 だからBさんは、夕方までに街中で食事代をおごってくれる人や宿泊先を探す。SNSや街で知り合った人の家に行ったり、場合によっては援助交際して、ホテルや相手方の家を宿泊先にするという。

 行政への相談は「親に知られるのではないか」と考えて敷居が高い。

「誰かのせいばかりにして嘆いていても前に進まない。現場にいる私たちに何ができるのかを考えないといけない」(橘さん)


〈取材・文/ジャーナリスト・渋井哲也〉