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 黒木メイサがマタニティー姿の刑事役で主演する話題のドラマ『デザイナーベイビー ――速水刑事、産休前の難事件――』(NHK総合・9月22日スタート、火曜夜10時~)。

「妊娠8か月の妊婦さんの刑事役と伺ったとき、面白いと思いました」(黒木)

 黒木が演じるのは“頭は切れるが身体は重い”妊婦刑事の速水悠里。デザイナーベイビーとは、遺伝子操作によって親が望む能力や容姿を持つよう人工的に作られた(デザインされた)子どもの総称のこと。

「ひとりの女性として興味が湧きましたし、どんなものかを知って、衝撃を受けました」(黒木)

 聞きなれない言葉にインターネットで検索したという。不妊治療などに役立てられる生殖医療技術であることを理解しつつも、こう話す。

「例えば、こういう目の色をした男の子、女の子、こんな子どもが欲しいというのも、もうすぐ可能になってしまうという記事を読んだときには、一瞬ボーッとしてしまいました。何が正しくて何がいけないということは簡単には言えませんが、この作品で、そういうことが現実にあるのだと知っていただけたらと思います」(黒木)

 2012年に第1子を出産した黒木。今回、マタニティー仕様の警察官の制服や私服の衣装合わせ、役作りで大きくせり出したお腹に、懐かしさを感じたそう。

「撮影中はいつも妊娠8か月のお腹を抱えていますから、妊娠している錯覚に陥ります。スタッフさんも“妊婦さん優先!”と道を譲ってくださったり、つまずきそうになると、いつも以上に素早く手を差しのべてくださった」(黒木)

 詰め物で大きくしたお腹でも、妊婦の動作が自然と出てくることも多いという。動きだけでなく、妊婦であるからこそ気づく違和感に事件解決の糸口があり、見どころのひとつに。

「速水刑事は、ほかの男性捜査員たちが聞き流してしまうようなキーワードに引っかかったりします。速水と同じ目線でお楽しみいただければ」(黒木)

 新生児の誘拐事件を発端に、スリリングな展開を見せるこのドラマ。

「台本を読んでいて、どんどん先が知りたくなりましたし、胸が苦しくなったりもしました。映像化することで、私の感じたワクワク感や苦しさを感じていただけたら、うれしいです」(黒木)

 生殖医療の最前線に切り込んでいく本格刑事ドラマだが、磯智明チーフプロデューサーが大切にしているのは、重厚感より痛快さやドキドキ感という。

 『救命病棟24時』『ナースのお仕事』など、民放で医療ドラマを多く手がける岩本仁志監督(NHK初演出)がメガホンをとるだけに、エンタメ的な要素もふんだんに盛り込まれている。

「岩本監督は現場でよく“ドライブ感を大事にしたい”と言っています。テンポよくどんどん物語が展開するので、8回あっという間に見られます」(磯チーフプロデューサー)

 物語は、生後わずか1週間の赤ちゃんのノゾミが城南大学附属病院から誘拐されたことに始まる。

 産休間近、妊娠8か月の捜査一課特殊班刑事・速水悠里は、日村警部補(神保悟志)に呼び出され、ノゾミの母・優子(安達祐実)の監視も兼ねて産科病棟への潜入捜査を命じられる。

 相棒は年下の土橋福助(渡辺大知)刑事。2人は夫婦を装って潜り込み、病院内の人間関係を洗い出していく。犯行時刻にアリバイがないのは、医師・須佐見教授(渡部篤郎)だった。

 だが、その須佐見に誘拐犯から身代金要求の電話が入る。ノゾミは無事なのか? 事件は予想を超えた展開を見せていく。

「事件現場の病院には緊迫感がありますが、特殊犯捜査係の刑事たちの人間模様には癒されると思います。また、仕事と家庭の両立を快く思わない管理官(松下由樹)や胚培養士(斉藤由貴)、さまざまな事情を抱えた妊婦ら、女性たちと速水刑事のやりとりもお見逃しなく」(磯チーフプロデューサー)