■“目に見えないもの”が大事

「これまで12年間“動物介在教育”をやってきて、大きく変わったのは生徒や保護者の方の意識ですね。1度、ブレスが生徒の手を噛んでケガをさせてしまったことがあったんです。でも保護者の方は“ウチの子が無理やりやったんでしょう”と理解してくれて、生徒も“失敗しちゃった”と言ってくれたんです」

 聖書の教えを生徒に教える吉田先生は、以前から“目に見えないものが大事”という教育を続けてきたそうですが、学校犬がいることで“見えないもの”が何か伝わるようになったと感じているそうです。

「聖書にこう書いてあるからそうしましょう、と言ってもなかなか伝わりづらいんですね。でも、言葉が伝わらない犬が学校にいることで、言葉ではなく自分の思いを伝えていく、それには目に見えないものが大事なんだということが伝わるようになりました。恩師には“動物介在教育こそキリスト教教育の延長線上にあることだよ”と言ってもらえました。

 そして、動物介在教育が成功したことによって、“子どもにとって楽しいものを大事にする”ということが保護者の方に伝わり、学校で何か新しいことをしようとすると、積極的に協力していただけるようになりました」

 今年度からバディのいない動物介在教育となりましたが、バディ・ウォーカーとバディ・ルームという名前は生徒たちから残したいという意見があり、今も初代学校犬バディは仲間として、学校と子どもたちを見守り続けています。

 本書にはカラーページがたくさんあり、バディたちの写真も満載。また小学4年生までに習う漢字以外にはふりがなもついているので、お子さんと一緒に読んで、意欲と好奇心を持ってもらえたら、と先生。

「子どもにとっていちばん大事なのは“意欲”です。好奇心があって、意欲を持ち続けられる子は自然と勉強ができるようになりますし、何でもできるようになります。お子さんがやりたいと言うことを、大事に育ててあげてほしいですね」

『ありがとう。バディ 学校犬、その一生の物語』1400円/セブン&アイ出版
『ありがとう。バディ 学校犬、その一生の物語』1400円/セブン&アイ出版
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■取材後記

 新たな学校犬として、バディとリンクと同じ犬種「エアデール・テリア」を探しているという吉田さん。バディと同じドイツ系の出身で、できたら同じ血筋の犬がいいと全国各地を探していたそうですが、このたび、3代目の学校犬が決まったとか! 詳細は、ブログで報告をしていくそうです。

(取材・文/成田 全 撮影/齋藤週造)

〈著者プロフィール〉

よしだ・たろう 立教女学院小学校教頭。1973年京都府生まれ。同志社大学神学部卒業。同大学院歴史神学専攻修士課程修了。'99年立教女学院小学校教諭(宗教主任)となり、2003年から日本初の試みである「動物介在教育」を始める。著書に『子どもたちの仲間 学校犬「バディ」』がある。

ブログ「動物介在教育の試み」http://blog.livedoor.jp/schooldog/