2013年3月、奈良県橿原市で、中学1年の女子生徒(当時13)が自宅付近のマンションから飛び降り、死亡した。遺族は今月1日、同級生4人と保護者、同市を相手取って計約9700万円の損害賠償を求め、奈良地裁に提訴した。友人から仲間はずれにされたり、LINEで悪口を言われるいじめがあったという。死後も揶揄する表現がLINEのタイムラインに投稿された。自殺した女子生徒の母親が憤る。

「自分がいじめた相手の自死後の通夜の席で『お通夜NOW』と投稿する生徒の異常さに驚愕しました。悪しきネットいじめの最たるものではないか」(女子生徒の母親)

 ’13年6月、広島県呉市で高等専修学校に通う女子生徒(当時16)が遺体で発見された。裁判では、元同級生で無職の少女(18)=殺人と死体遺棄で懲役13年の判決確定=とLINEで言い争いになったことが、犯行の発端だったと明かされた。

 無職少女はLINEのグルチャ(グループチャット)で、

《都合がええやつ嫌い。からまん方がええよ》

 と書き込んだ。

 殺害された女子生徒のことを指していた。これに女子生徒は、《嫌いじゃね》と返信した。

 無職少女は、自分のことを「嫌い」と言ったと解釈して怒った。女子生徒をワゴン車に監禁し、暴行。殺害した。

 この事件をきっかけに、LINE側は18歳未満が利用する場合、ID検索ができないようにした。見知らぬ人とのやりとりの制限が狙いだが、顔見知りだと、その意味はない。

 ’13年8月、熊本市の県立高校1年の女子生徒(当時15)が自殺した。

 県教委によると、この女子生徒は寮生活をしていたが、同じ寮に住む同学年の女子生徒から、からかいや脅しの言葉をLINEで書き込まれていたという。学校側は記者会見で「その後の指導で生徒らは和解できたと認識しており、痛恨の極み」とした。

 青少年のネット利用に詳しい千葉大学の藤川大祐教授(教育方法学、授業実践開発)は「文科省のいじめに関する調査の小中高別のネットいじめの比率と都教委の調査結果は符合しており、納得できる。同省のデータでは2007年がピークで、その後、減少したが、近年、再び上昇に転じている」と指摘する。

 なぜ再び増えているのか。