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 今春から司会を務める『白熱ライブ ビビット』(TBS系)で爽やかな朝の顔が定着した真矢だが、今作ではガラリと雰囲気の違う怪盗を演じている。

「撮影期間は約3週間。でも、私の体感では、5日くらいかしら。濃厚でめまぐるしく、まるで黒蜥蜴のようにさささっと、時が素早く過ぎるのを感じました」

(真矢ミキ)

 原作は今年生誕120周年、没後50年の推理小説家・江戸川乱歩の同名探偵小説。真矢は少女時代に摩訶不思議な乱歩の世界の虜になっていたという。

「『黒蜥蜴』を読んだときは怖い、と思いましたね。この女怪盗にだけは出くわしたくないなと思いました」(真矢ミキ)

世界を股にかけ、価値のあるあらゆる美しいものを華麗に盗み出す黒蜥蜴。この女怪盗を演じるにあたり、真矢は今までとは違った姿勢で撮影に臨んだ。

「私はしっかり準備して撮影に臨むタイプ。ですが、情報番組をやらせていただいていることもあり、時間に限りがあります。そこで完璧に仕上げず、余白を残した状態で臨むようにしました」(真矢ミキ)

 情報番組の司会とドラマの撮影で、真矢の平均睡眠時間は4時間程度。完璧に演技を作る余裕がないことは、かえっていい結果を生んだ。

 その理由は、根本和政監督が台本上からは予想もつかないアイデアを現場で提示。急きょ設定が変わることも少なからずあったからだ。

「ガチガチに作っていないぶん、設定の変更、共演者の方の演技にも柔軟に対処できました。時間の制約だけでなく情報番組をやっていると、気づかされることがたくさんあります。黒蜥蜴のようなダークヒロインを演じるうえでは、彼女が怪盗になった背景や心情を考えるようになりました。役作りの入り口まで変わったようです」(真矢ミキ)

 アイデアマンの根本監督に刺激され、真矢も衣装などについて提案。

「変装の得意な黒蜥蜴の衣装にパンツスーツを加えていただきました。私が宝塚の男役だったからではなく、黒蜥蜴の多面性を男装で表現したかったのです」(真矢ミキ)

 特別な思い入れで臨んだ黒蜥蜴役は、真矢の日常にも変化をもたらした。

「黒蜥蜴の一人称の『わたくし』を、無意識に情報番組中にも使っていたようです。“また『わたくし』と言っていましたよ”と指摘されてびっくり。撮影期間中はずっと黒蜥蜴のタトゥーが入っていましたから、(蜥蜴の)シッポが出ないように厚手のタイツで隠すのにも必死でした(笑い)」(真矢ミキ)

 物語はクリスマス間近、首筋に黒蜥蜴の刻印のある女性の水死体が発見されて幕を開ける。警察は黒蜥蜴の犯行と断定するが、警視副総監の明智小五郎(渡部篤郎)だけは疑問視していた。なぜなら黒蜥蜴は決して、自らの目的のために人を殺めたりしないからだ。

 その矢先、黒蜥蜴から犯行予告が届いた。クリスマスを迎えた瞬間、巨大グループ企業会長・岩瀬正一郎(升毅)所有の時価120億円の宝石「聖夜の涙」を盗み出すという。

「聖夜の涙」公開パーティーのクリスマスイブ。厳戒態勢の警備のなか、事件は起きた。カギを握るのは、岩瀬の娘・早苗(剛力彩芽)か? 乱歩作品でおなじみの名探偵・明智小五郎がエリート警察官という設定になっている。

「2015年版の『黒蜥蜴』を意識して、あえて変更しました。これによって物語に広がりが出ましたし、現代社会でもリアリティーのある作品に仕上がったと自負しています」(安藤和久プロデューサー)

 いちばんの見どころは、黒蜥蜴と明智の駆け引きという。事件解決のみならず、ラブストーリー的な展開も。

「今まで見たことのない真矢さんのダークヒロインぶり、数々の名優が演じてきた明智小五郎の違った魅力を引き出してくださった渡部さんの演技にご注目を。エンターテイメントに徹した作品ですので、日常を忘れてご堪能いただければ」(安藤プロデューサー)